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共同文書、戦略的互恵関係の推進うたう 日中首脳会談

2008年05月07日11時47分

 福田首相は7日、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と首相官邸で会談した。両首脳は会談後、未来志向の「戦略的互恵関係」を進める指針として、10年ぶりの「共同文書」に署名した。両国は地球温暖化対策の共同声明でも合意。同じアジアの主要国として、国際社会の安定と発展にともに貢献する基本姿勢を確認した。

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胡錦濤国家主席と握手する福田首相=7日午前、首相官邸、松沢竜一撮影

 中国国家主席の訪日は、98年の江沢民氏以来10年ぶり。福田首相と胡主席との会談は昨年12月の首相訪中以来2回目。会談冒頭、首相は「日中平和友好条約締結30周年という節目の年にお迎えし、心から歓迎する」と語り、主席は「中日関係はさらなる発展のチャンスに恵まれている」と応じた。

 共同文書は「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」。戦争や侵略に対する日本の「おわび」や「反省」は盛り込まず、「歴史を直視し、未来に向かい、日中『戦略的互恵関係』の新たな局面を絶えず切り開く」と未来志向の表現とした。「双方は互いに脅威とならない」ことも確認した。

 中国側は「日本が戦後60年余り、平和国家としての歩みを堅持」と評価。日本の国連安保理常任理事国入りへの直接的な「支持」は盛り込まなかったが、「日本の国連における地位と役割を重視する」と配慮を示した。台湾問題で中国側は台湾独立への反対を求めたが、日本側は「中国政府の立場を十分理解し、尊重する」との72年の共同声明の立場を堅持した。

 共同文書では、両国首脳の1年ごとの相互訪問を明記。チベット問題には直接言及しないものの、「国際社会が認める基本的かつ普遍的価値の一層の理解と追求のために緊密に協力する」として、価値観の共有を盛り込んだ。

 東シナ海のガス田の共同開発を巡っては、「東シナ海を平和、協力、友好の海とする」との原則を示すにとどめた。北朝鮮問題では「6者会合(協議)のプロセスをともに推進する」と確認。13年以降の地球温暖化対策の国際枠組み(ポスト京都議定書)づくりに両国が積極的に参加する方針も確認した。

 「気候変動に関する日中共同声明」では、日本が提案した産業・分野別の温室効果ガス削減策「セクター別アプローチ」について、中国側が初めて「重要な手段」と前向きに評価した。

 チベット問題では、首相が中国側にチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世らとの対話の進展に期待を表明。主席は、ダライ・ラマ側との協議内容を伝えたとみられる。日本としては北京五輪の成功に向け協力する考えも改めて伝える。

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