20年のキャリアを持つライターの岡崎香とは、中学から高校にかけての同窓生だ。
彼女は演劇批評が得意分野のひとつとしているらしい。
劇団「猫のホテル」の『けんか哀歌』という芝居に誘ってくれた。
昼頃ゆっくりと起きる。
16時頃の井の頭線に乗り、下北沢へ。
少し遅れるかと思った時、岡崎香からメール。
前の仕事が押して、遅れるらしい。
むしろほっとする。
結局、岡崎香が現れたのは17時少し前だった。
17:00に開演かと思っていたので気がもめたが、17:30からだと判った。
近くのベトナム風カフェで、生春巻をつまみ、ビールを飲んだ。
劇場では、漫画家のまついなつき先生と待ち合わせているとのこと。
まつい先生は出産本の元祖で、妻からもくれぐれもよろしくと言われていた。
ちなみに岡崎香も『にんぷ天国』というベストセラーを出しているから、おそらくその縁だろう。
が、まつい先生が現れないので、仕方なく先に入った。
芝居は、戦後に実際にあった映画撮影所の労働争議に題材を取った硬派なもので、昭和の香りがぷんぷんと漂った。
全体を貫くテーマは「モノ作りとは何か」というものだと解釈した。
2時間たっぷりと楽しんだ。
終幕後、岡崎香の案内で楽屋を訪問する。
作家・演出家の千葉雅子女史は、ベレー帽にメガネでフランクに装っていたが、かなりの美人だった。
今回の出演はなかったが、いつもは舞台にも立つらしい。
中村まことさんは、今回の芝居で一番感情移入ができた役を演じていらっしゃった。
ヒゲが本物だったので、何だか嬉しかった。
池田鉄洋さんとも親しく話させていただいた──女性ファンの多い役者さんだ。
菅原永二さんは、パチンコ「寿司屋の源さん」のCMの真ん中で暴れている人だ。
市川しんぺーさんは、貫禄があった。
とにかく、芝居の人は、みんないい人だ。
劇場を出た。
まついなつき先生は、やはり開演時刻を間違っていたのだそうだ。
お目にかかれず残念だった。
劇団の人たちと夕食会に行くという岡崎香を見送り、近所の居酒屋で軽く食った。
いけすの鯵の中に、目玉がふやけて飛び出したやつが数匹いて、気分が良くなかったので、一杯だけ飲むにとどめた。
地元に戻り、お気に入りの喫茶店でコーヒーを飲んで帰った。
深夜テレビを見ていると、NHKでなんだかやたらと面白いドラマをやっている。
調べてみると、『デスパレートな妻たち』というやつで、とてつもなく面白かった。
ドラマか劇映画が観たくてたまらなくなったところに、TV東京で、韓国映画『グエムル──漢江の怪物』という映画が始まったので、本気で観た。
この時点でもう朝である。