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スポーツナビ
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鈴木亜久里代表「レースのできないF1には戻らない」
スーパーアグリF1撤退発表会見(3/3)
2008年05月06日
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会見ではF1界全体の問題にも言及し、プライベーターの苦悩を吐露した【 スポーツナビ 】
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――SSユナイテッドというのはどのような会社で、なぜこの会社を選んだのですか
鈴木代表 業務アドバイザリー契約をしている会社が仲介してくれて、この会社は間違いない、自分たちが責任を持って推薦すると言ってくれて、彼らが持ってきたSユナイテッドと契約に至ったわけです。その中にはいくつかのビジネスが入っていて、最初はスポンサーいう形を第1ステップとして、そのあとすぐにスーパーアグリに増資するという形にして、ビジネスパートナーになっていくという前提で一番最初の話が進んだので、仲介してくれた会社を信頼して、こういう風になったという感じですね。
――今後、訴訟に発展する可能性はありますか
鈴木代表 今は弁護士さんと話をしていて、どのようにするのかは近々発表できると思います。
――これまで、どのような国の会社と(契約の)話をしてきたのか
鈴木代表 すごくいっぱいしましたね。中国、ロシア、ドイツ、スペイン……本当に数多くの会社と話をしました。
――今回の決断について、ホンダ技研の福井威夫社長は何か仰っていましたか
鈴木代表 福井さんとお会いしたのは、オーストラリアGPの時。その時点では、マグマとの話がうまく進んでいるので、うまく頑張ってくれという話をされて、今回のここに至る経緯でスペインGPが終わった後に関しては、話をしていません。
――3レース欠場できるのであれば、3戦を諦めて話をまとめて復帰する選択肢はなかったのですか
鈴木代表 ないです。(その理由は?)いや、資金的に続いていけば、それも可能だったかもしれないですけど、その辺がなかなか難しい。F1は1レース行く毎に何億円とかかる世界なので、それ(資金)がきちっと回っていかなければ、会社として回っていかないということです。パートナーを探す部分でも大きなポイントは、僕も本当に悔しいんですけど、2006年に2008年のエントリーをしたのを覚えていると思うですが、2006年の6月に2008年度のエントリーが締め切られて、その時に22チームがエントリーしたんですよ。現行の11チーム、プラス1チームが入ってくるということなのに、なぜ22チームがエントリーしたかというと、2008年からはカスタマーカーが使えるということと、FOM(F1運営機構)の賞金の分配とかがよくなるということだったから。でも昨年、急にカスタマーカーの問題が難しくなり、いまだにコンコルド協定が結ばれていないとか、いろんな状況が一気に重なってきて、パートナーを探すにしても、その辺の問題で非常に苦しくなったのは間違いないですね。
――マグマとの独占交渉権を持って長く話をしたにも関わらず、わずか1〜3行のFAXで不履行になったと聞いていますが
鈴木代表 5行ぐらいはあったかな(笑)。
――チームの命運、スタッフの将来をかけて話してきた相手が、明確な理由も示さずに話を断ってきたということで、今後マグマに対して訴訟など法的手段に訴えることは考えていますか
鈴木代表 そうですね、その辺はどのようにしていくか考えていきます。いろいろな契約書の中で、どれが実現できるのか分からないですけれど。まあ、マグマを紹介してくれたニック・フライに感謝しますよ。ただ、マグマの話は言えることと言えないことがあるのですが、彼らは非常に真面目で、こういう話でネガティブに思うかもしれないけど、彼らと一つ一つ交渉してきたんですけど、すごく真面目にステップを一つずつ積んでいく会社。いい加減に話を進める会社じゃないと思うし、そういう人たちじゃないと思う。ただ“マグマの先”がどうなのかは僕には見えないですけど。マグマ自体が何千億も持っている会社だというのなら話は別だと思うんですけれど、彼らと付き合ってみた中では、真面目であることは間違いない。2カ月も話したのにFAXでっていうことだと、僕もさっきそういう話をしたから、誤解されちゃうと思うんだけれど、決してそんなことはなく、ビジネスとして真面目に取り組んできたと思います。
――では、マグマの先に問題があったと考えているのですね
鈴木代表 それは僕は分からない。その先に関してどういう話ができているのかは、僕が立ち入る範疇ではない。コメントできる立場にもないです。ただ、彼らと接してみて真面目なビジネスマンだと思ったということ。
鈴木代表は「やって良かった」と2年半の挑戦を振り返った【 スポーツナビ 】
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――2年半、日本の多くのファンから支持されたにも関わらず、日本の企業の支援がなかったが
鈴木代表 僕ががっかりしたとかしないとかではなく、日本の企業が今のF1に興味を持っていないということと、あまりにもF1の予算が大きくなっちゃっているから、その辺が費用対効果じゃないけど。僕がF1をやっていた時代の予算で25〜30億円でできている時代であれば、いくつかのスポンサーで賄えたかもしれないけど、今はメーカーの戦い。個々のメーカーがどれだけお金を使っているか分からないですけれど、人の引っ張り合いもそうだし、人件費もそうだし、部品のコストの上昇もそうだし、そういう部分も考えると、F1が今後プライベーターのチームとして成り立っていく世界は難しいんじゃないかと思う。2011年を目標にバジェットキャップという予算を決めるルールが考えられているけれど、160億円ぐらいに「抑えよう」としているわけだから、どれだけ使っているのか。かなり巨大なお金を使ってF1をやっていると思うので、(ルール導入が)実現しても難しいと思う。
――F1に戻って来ないという話だが、スポンサー等の条件が整っても戻る気持ちがないのですか
鈴木代表 なかなかね、ピラニアクラブだから、そこにまた指を突っ込むのは嫌かなというところもありますけど(笑)。うーん、レースがしたいですよね。レースができる環境だったら戻ってもいいけど、振り返った2年半はお金探しばっかりしていて、レース場に行っても、うちのチームは何回ピットインして、今日は何周になるのかという感じが結構あって、それに疲れたかな。何か、レースができる環境で戻れるんだったら、戻りたい……かな。でもちょっと休みたいかな、今は。でもね、それだけ魅力のある世界なので、トロロッソの半オーナーでもあるゲルハルト(・ベルガー)ともよく話すんだけど、彼もレーシングドライバーをやっていて、いつかはF1のオーナーで戻ってきてやるって。オレ、現役時代はあまり喋らなかったんだけど、チームをやるようになってすごくいろんな話をするようになって、でも、疲れたって言ってますよ、彼も(笑)。もうF1の鈴木亜久里として皆さんの前で話すのは最後なので、何でも答えますよ。
――本当に?
鈴木代表 難しい話はダメですよ(笑)。言える話と言えない話がある。
――今のF1で、フェラーリなど強いチームに対抗するプランがあると聞いたことがあるのですが
鈴木代表 そうですね、だれかが僕にポンと1000億円ぐらいくれて、やってもいいよって言ったら、3年ぐらいできるかな(笑)。
――そのプランを念頭に置いてスポンサー探しをしたのでは
鈴木代表 そうですね。いろいろと話をしましたけど、まあ、現実は甘くなかったですね。
――今、「F1をやって良かった」、「F1をやらなければ良かった」、どっちですか
鈴木代表 そりゃ、やって良かったですよ。だって、どう考えたって、人生の中で……。僕は30歳までにF1レーサーになりたいと思ったし、35歳で辞めるってことを決めたし、45歳でF1チームをやるって、本当に苦しい部分はあったと思うけど、そんなのは、全然関係ない。自分が絶対にやるんだって思って決めたことができる人生を与えてくれた神様に感謝している。だれが登ってくれと言った山じゃない。高いところへ登れば酸素は薄くなるし、天候も荒れる。苦しいのは分かっていて登っているのだから、それをやって良かった、悪かったなんて……ちょっと1回考えたことはあってヤバイなと思ったことはあったんですけど(笑)、いっぱいチャンスを神様からもらった人生なんてないと思う。本当に感謝しています。でも苦しかったよ(笑)。(司会が会見の終了を告げるのを振り切り、最後に一言)あ、もう一つ! これからF1チームをやろうと思う人は、やらない方がいいよってコメントするかな。相談に来られたら。以上です。ありがとうございました。
<了>
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