6月15日付け日経新聞に「有効性疑わしい金利規制」と題するコラムがありました。筆者は筒井さんという大阪大学の先生。日経もなんで今頃になってこんな記事を載せるのかわかりませんが、面白いので2回に分けて味わいたいと思います。
まず、この先生は「行動経済学」の立場で議論をしています。伝統的な経済学では金利については政策介入の余地がありませんが、これは筒井先生が指摘しているように「合理的な個人」を想定しているから。筒井先生はすべての人が合理的な個人ではなく、不合理的な個人(=馬鹿)が混じっていることを事実としてとらえ、この人たちにとっては政策介入が必要だと議論しています。ただし、筒井先生は「馬鹿には必要だ」という話と「皆に必要だ」という話を混同してはいません。このあたりはさすがに頭のいい人のようです。馬鹿に必要なものでも皆に必要だとは限りません。ただ不必要なだけで、あってもなくてもよいのであればかまわないのですが、なかには「馬鹿には必要でも、まともな人には迷惑」、というものもあります。その一つが上限金利だと筒井氏は結論付けています。だから表記のようなタイトルになっているのでしょう。まあこのタイトルは必ずしも適切ではないかもしれませんね。有効性は疑わしくはないです。ただ、毒にも薬にもなるというのが正しいところでしょう。放射線治療みたいなもので、がん患者には有効でも、なんともない人にはかえって有害です。
さて、このペーパーには双曲割引度というのが出てきます。これは仮定されている効用関数の現在と将来の割引率の差です。といっても分かりにくいですが、双曲割引の傾向を持つ人は「今日高金利で借り入れしても、半年後には節約してちゃんと返す」と考えることだと解説されています。夏休みの小学生みたいですね。今日はとりあえず遊んで、8月のおわりになったらいっぱい勉強しよう。日記も一か月分まとめて書こう、と計画するわけです。こういうのできるわけない、と小学生のうちに学んでおかなければならないのに、それをしないで大人になった人がこういう傾向を持つのでしょう。面白いのは債務整理経験者と、消費者金融未利用者とでは双曲割引度(=馬鹿度)が異なるということがアンケートで確かめられたということです。任意であれ、法的であれ債務処理をしたような人は消費者金融なんかに近づきもしない人に比べて有為に馬鹿なのです(笑)。
もっと分かりやすいデータもでています。それは「自信過剰指数」という奴です。自信過剰指数はどうやって計ったかと言うと、「自分は消費者金融のことをよく知っている」と答えた人でかつ、上限金利や消費者金融についての問題に間違って答えた人を1。知っているとして答えも正しかった人を0(あるいは知らないとした人も0)としたようです。つまり、「自信過剰指数」が高い集団というのは「消費者金融のことをよく知っている」と答えながらぜんぜん知らない(=馬鹿)ということになります。この馬鹿指数はやはり債務処理経験者が普通の人よりず〜〜〜〜〜っと高くなっているのです(爆笑:そういう人ネットで多いよ)。
つまり、「債務整理を経験したような人は普通の人より馬鹿で自信過剰である」まずこの客観的なデータをおさえておいてください。(つづく)
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