日中両国最大の懸案である東シナ海ガス田の共同開発問題について、政府は七日の福田康夫首相と胡錦濤国家主席の首脳会談での合意を断念する見通しとなった。焦点の共同開発の対象海域をめぐる立場の違いが埋まらなかったためだ。複数の日中関係筋が四日、明らかにした。
政府はガス田開発に関する基本合意が「首脳会談の最大の成果物になる」(外務省筋)として、ギリギリまで中国側と調整を続けていた。決着時期の目標設定などで合意する可能性は残っているが、度重なる解決先送りで一段と不透明感が高まるのは確実。首脳会談の評価にも影響しそうだ。
共同開発の海域をめぐっては、日本が排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)付近での共同開発を提案。これに対し中国は、これより日本寄りの尖閣諸島周辺など南北二海域での開発を主張し、天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)の単独開発に着手したほか、天然ガス田「樫」(中国名・天外天)の生産開始も表明している。
関係筋によると、中国は昨年十二月、白樺を除くガス田に関し、これまで存在自体を認めていなかった日中中間線を基準とした妥協案を提示したが、白樺を共同開発の対象外としたことに日本側が反発。線引き問題は棚上げの状態になっているとみられる。
福田首相は、これまでガス田問題について「春には解決できるのではないか」などと、胡主席来日までの決着に自信を示していた。ただ、政府内では「政治決断できる環境はまだ整っていない」(政府筋)と悲観的な見方が少なくなかった。
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