騎士とは銀河帝国皇帝を守護する帝国騎士の事を指していた。
それはただの称号ではない。銀河に僅かに存在する希少金属ミスリルを移植された言わば強化人間のようなもので、光子障壁<フォトン・シールド>と言われる如何なるものからも身を守るバリアの様なものを自在に操ることが出来た。
防御技術が発達し、宇宙での壮大な艦隊戦も最後に雌雄を決するのは揚陸合戦による人対人の白兵戦となっているこの時代、騎士という超人が兵士たちの畏怖の対象となるのは仕方のない事であった。
兵士が一歩、また一歩とあとすざる。
「落ち着け!!
お前たちはこのシリア・フォン・ベルンシュタインの兵士であろう!!
女海賊一人に動揺する部下など私は持った覚えはないぞ!!!」
女騎士の一喝で兵士たちが落ち着きを取り戻す。
「そうだ!! 我らにはシリアさまが!!」
「すでに敵方の騎士3人を葬った我らが英雄!!」
「シリアさま!!」
「随分頼りにされているようね。
ウェールズ諸侯同盟の英雄、白銀のシリアさま」
「話の途中だった。私をここに誘き出した狙いは何だ? 女海賊サラよ」
「フフ♪ 私の狙い? それはシリアさま………あなたを捕らえること」
「フン、良かろう。聞きたい事は決闘ののちに」
白銀のシリアは帯剣していた剣を抜く。
しかし刀身はなかった。
ブゥン!!
柄から光りの刀身が発生する。
それは皇帝から騎士の授けられるミスリル製の武器。光子障壁<フォトン・シールド>を言わば武器に応用したものだ。
どんなものも切り裂く光剣<フォトン・ソード>。
その剣戟を防げるのは光剣<フォトン・ソード>のみ。
光子障壁<フォトン・シールド>を突き破る事の出来る唯一の武器だ。
サラは笑みを浮かべると同様に腰に柄を手に取る。
ブゥン!!
シリア同様、柄から光りの刀身が発生する。
兵士たちが固唾を呑んで見守る中、二人の騎士の戦いが始まろうとしていた……!
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