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社説:内閣支持18% 国民から見放されかねない

 このままでは国民からレッドカードを渡されかねない。毎日新聞が1、2日実施した世論調査で、福田内閣の支持率は18%に落ち込んだ。次期衆院選で福田康夫首相が自民党の「選挙の顔」として通用するか、疑問符がつく数字である。首相は国民の怒りを甘くみてはならない。政治と世論のギャップを埋めるよう指導力を早急に発揮しないと、政権の行き詰まりは避けられまい。

 支持率の20%割れは01年2月の森喜朗内閣(9%)以来だ。過去20年では森、小渕恵三、宮沢喜一、竹下登の4首相が記録した。森、竹下内閣は支持率低迷で退陣に追い込まれ、宮沢政権は衆院選で敗北し、自民は野党に転落した。そのくらい厳しい水準である。

 民主党支持率が自民党を8ポイントも上回り、逆転した点も重要だ。国政選挙直後のようなケースを除き、これほどの差は異例だ。次期衆院選で民主党が勝ってほしい人も51%に達し、小沢一郎代表が福田首相よりも首相にふさわしいと考える人もやや上回った。国会での強硬路線に疑問を感じながらも、政権への逆風が、民主党への追い風に転化しつつある表れである。

 今回、支持離れが加速した要因は、いずれも7割超が「評価しない」と答えた後期高齢者医療制度と、ガソリン税の衆院再可決だ。新医療制度への反発は、さきの衆院山口2区補選の自民完敗で裏づけられた。しかも補選の直後、首相はドライブシーズンを前にガソリン税率を元に戻した。物価高について「しょうがない」とも発言している。どこか人ごとのような政治姿勢に、国民は神経を逆なでされる思いなのだろう。

 まさに、危機的な事態だ。にもかかわらず、政権にはなぜか切迫感が乏しい。衆院解散をしない限り、与党は3分の2を超す多数を握る。衆院再可決で防戦すれば国会も乗り切れるし、国民の怒りもいずれ静まる--。そう踏んでいるのではないか。

 しかし、それは幻想だ。支持率がこの状態では、衆院選が近づくほど首相交代を促す力が与党内にも強まろう。首相に与えられた時間は少ない。福田政権が民意の共感を呼ばない根底には、官僚が主導する政権運営がある。ここはひとつ、開き直るぐらいの気概で行政の無駄遣いや官僚の既得権の見直しに踏み込んでもらいたい。新医療制度も、生ぬるい手直しではもはや国民の納得は得られまい。

 世論の追い風を背に、民主党は攻勢を強めよう。「ねじれ国会」の(閉塞へいそく)に加え、小泉政権の「郵政選挙」で得られた多数をバックに国会運営が決まることにもそろそろ限界が近づきつつあるようだ。首相はやはり早期に衆院を解散し、国民に信任を問い直すべきなのだ。その覚悟がないようでは、政権はいずれ泥舟と化してしまうだろう。

毎日新聞 2008年5月4日 0時55分

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