ヤンゴン(CNN) ミャンマー(ビルマ)軍事政権は5日、先週末に旧首都ヤンゴンなどを直撃した大型サイクロンによる死者が、1万5000人を上回ったことを明らかにした。中国国営の新華社通信がミャンマー当局者の発言として伝えた。
軍政は人道危機に直面するなか、国内駐在の各国大使を外務省に招集し、国際社会に向けて緊急支援を要請した。全国には非常事態宣言を全国に発令したが、新憲法案をめぐる国民投票は予定通り10日に実施する方針。民主化運動支持者らは、乙票を延期するべきだとしている。
国連関連のデータベースによると、今回のサイクロンは約2700人が死亡した1926年の暴風雨をしのぎ、ミャンマーの近代史上で最悪の自然災害とみられている。潘基文国連事務総長は大勢の死者と大規模な被害が出たことに遺憾の意を表明し、国際社会に支援を呼びかけていく姿勢を示した。
米国務省のケーシー副報道官は、ミャンマーの米大使館が「災害宣言」を出し、25万ドルの緊急支援を決めたことを明らかにした。同報道官によると、支援チームが現在待機しているが、ミャンマー軍政が受け入れを承認していない。ブッシュ米大統領のローラ夫人は、サイクロン直撃前に警報を出さなかったのは「国民の基本的必要性に応えていない」として、軍政を批判した。
世界食糧計画(WFP)の関係者は、ヤンゴン市内の住民に対する緊急支援を実施する必要性を指摘。また、赤十字の災害リスク管理担当者は、安全な飲料水の提供に努めていることを明らかにした。支援機関の関係者は5日、タイの首都バンコク市内にある国連の拠点で会合を開き、支援対応を調整した。
被災した人々は停電が続くなか3度目の夜を迎え、道路には多数の倒木が散乱。携帯電話を含む電話回線はヤンゴン市内で不通になっており、断水も続いている。一部地域では燃料価格が1ガロン10ドルと、災害前の4倍に高騰したもの、ガソリンを求める住民の長蛇の列がみられ、中には闇市からガソリンを調達する者もいる。
タイを拠点とする独立系ニュース誌「イラワジ」の編集者は、ミャンマー軍政の災害対応が遅れたことへの怒りが、東南アジアで広がっていると語った。また、在外ミャンマー人の放送メディア「民主ビルマの声」の関係者は、イラワジ・デルタ地区で壊滅した村が複数あることを明らかにした。