家庭で使う電化製品から突然、煙などが出て使えなくなるというトラブルが全国で相次いでいることが、東京消防庁の調べでわかりました。火災にもつながるこのトラブルの原因とは? 実験で検証しました。
一瞬にして使えなくなった電化製品。東京・台東区に住む加藤さん夫婦は今年2月、突然、このようなトラブルに直面しました。
「ドライヤーやりながらテレビを見ていたんですよ。そしたらテレビがヒューっと消えたんですよ」(加藤光子さん)
「これ(照明)がすごく明るくなっちゃって。それでパッパッて一個ずつ消えていった」(加藤昌弘さん)
テレビから焦げ臭いにおいが立ち込めたため、夫婦は慌てて119番通報しました。火事にはならなかったものの電化製品が10個も壊れ、修理代などにおよそ70万円がかかったといいます。
「訳わかんないよ」(加藤昌弘さん)
「突然、消えて真っ暗になっちゃった。暖房が消えて寒くて」(加藤光子さん)
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。それは、どの家庭にもあるブレーカーなどが入った「分電盤」のトラブルが原因です。多くの一般家庭にある分電盤は、赤と黒の「電圧線」と白の「中性線」があるタイプの配線です。この「中性線」によって、100V仕様の電化製品を使いながら、同時に200V仕様の電化製品を使うことができます。
しかし、この中性線が緩んだり断線したりして使えなくなると、本来かかるはずがない200Vの過剰な電圧が100V仕様の電化製品にまで加わってしまいます。すると電化製品は電圧に耐え切れず、故障。火災につながる恐れもあります。このようなケースは2002年以降、少なくとも全国で60件は起きているといいます。
一般家庭にある分電盤を再現しました。配線で火災が発生し、断線した場合、どのようなことが起こるのか実験します。100Vまでしか対応できないコンポに200V以上の電圧をかけてみます。すると、コンポから煙が・・・。さらに、テレビの背面パネル部分からも煙が・・・。基盤は焼け焦げ、正常な100Vの電圧を流しても、テレビは映らなくなってしまいました。
「もう少し電圧が高くなると、火を噴いたりする場合があります。(Q.一般家庭でも起こる?)条件によってですが、十分考えられます」(東京消防庁 石川雅人 司令補)
液晶テレビやパソコンなど高価な電化製品も一瞬にして使えなくなる、こうした分電盤のトラブル。一般に見極めるのは難しいため、東京消防庁では「電気業者などの専門業者に点検してもらってほしい」としています。(05日14:17)