北京オリンピックまであと3カ月となりましたが、水泳の世界記録を連発しているイギリスの新しい素材の水着に対抗して、大阪のメーカーが、それを上回るという性能の究極の水着素材を開発したというのです。
4年前のアテネオリンピックで大躍進した日本競泳陣。男女合わせて8個のメダルを獲得しました。北京オリンピックでも期待が膨らみますが、今、ある懸念が巻き起こっています。
イギリスのスピード社が開発した新素材の水着。今シーズン37の世界記録のうち35がこの水着を使って生まれたのです。ところが、日本代表はスピード社と契約しておらず、この水着をオリンピックで使うことができません。
「このままではメダルが危ういかも」という窮地に大阪の企業が立ち上がりました。生野区にある山本化学工業。トライアスロン用のウェットスーツで世界トップのシェアを誇る会社で、合成ゴムの製造技術を応用して、水に対してほとんど抵抗のない新素材を開発しました。
先月、関西大学水泳部の協力で行われた実験でも、参加した5人の選手がいずれも普段のタイムを1秒から2秒縮めました。海外のメーカーは既にこの素材を使って水着を開発。国際水泳連盟の検査もパスし、北京オリンピックに出場するオーストラリアやカナダなど4か国の選手の一部がこの水着の着用を既に決めています。
実は山本化学工業は去年秋、日本代表の公認メーカー3社に素材の使用を打診しましたが、相手にされませんでした。その後、スピード社の水着が驚異の記録を連発。山本社長はもどかしさを隠せません。
「速さとしては絶対速いということ。せっかく日本で作ったんですから、(日本選手が)勝てる状況になってほしい」(山本化学工業 山本富造 社長)
山本社長はさらにこう言います。
「我々は素材として(公認メーカーに)お使い頂ければいい訳で。我々のブランドの水着を使って頂くつもりは一切ありません」(山本化学工業 山本富造 社長)
日本代表がこの素材の水着を着ることになるのかどうか、山本社長は再度、公認メーカーに掛け合うことにしています。(05日18:07)