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社説

近づくサミット 「エコ北海道」を目指そう(5月6日)

 温暖化防止に関心はあるが、どう行動していいか分からない−。

 道が昨年行った道民意識調査で、こんな声が多かった。

 寒冷で広大な北海道では、暖房用灯油を大量に使い、自動車を利用する生活が当たり前になっている。

 道民一人当たりの二酸化炭素排出量は、全国平均の約一・三倍だ。

 何とか減らせないだろうか。そう考えている人も多いに違いない。

 自然エネルギー源に恵まれた北海道には、化石燃料に頼らなくても持続可能な「エコ社会」をつくる潜在力がある。

 知恵を集め、みんなで参加できる温暖化対策の仕組みを整えたい。

 北海道洞爺湖サミットが七月に開かれる。北海道らしい取り組みを発信したい。

*住民参加でごみ削減

 マチぐるみで資源・環境問題に取り組む自治体が増えている。

 富良野市では、二十年前からごみのリサイクル運動が続いている。

 市内の家庭や事業所から出るごみは年間約八千五百トン(〇六年度)に上る。これを十四種類に分けて市が回収している。

 生ごみは農業用肥料に再利用し、再資源化できる空き缶や金属類は専門業者に販売している。

 これだけで年間約千万円の収入が見込めるというから驚きだ。

 資源に再利用できるごみは、排出量全体の約九割に達する。富良野市は〇二年、焼却炉が不要になったとして廃止した。

 焼却炉の維持費だけでも巨額の経費がかかることを思えば、リサイクルの経済効果は極めて大きい。

 こうした運動が地域に定着するためには、経済効果を目に見える形で示すことが重要だろう。

 釧路管内浜中町では四月から、すべての小売店でレジ袋の有料化が始まった。道内初の試みだ。

 町が石油資源の無駄遣いをやめ、ごみを減らそうと住民に協力を呼びかけて実現した。

 環境省によると、全国で二十八の自治体が有料化に踏み切っている。東京都杉並区のように条例で義務付けた例もある。

 レジ袋の削減は、地域全体で取り組まなければ進まない。

 小売店と消費者がごみを減らす意識を共有することが大切だ。双方の理解を得ながら、運動をリードする役割が行政に期待される。

 住民が息長く参加できる仕組みをいかにしてつくるか−。自治体の知恵の絞りどころだ。

*「ぶどうの房」を作れ

 道内では、石油に依存しない生活を目指す動きも出てきた。

 美唄市内には、自然エネルギーですべての冷暖房をまかなうマンションがある。

 取り組んでいるのは、住民六十人でつくる「美唄自然エネルギー研究会」のメンバーたちだ。

 集中暖房する際の燃料は、工事現場の廃材やおがくずを回収してつくった「再生まき」だ。灯油に比べ約四割の経費節減になるという。

 夏の冷房には、貯蔵しておいた雪を使っている。

 事務局を担当する市産業振興課の金子幸江主事は、自分たちの取り組みを「ぶどうの粒」に例える。

 「粒をつなぎ、ぶどうの房をつくりたい。自然エネルギーを使う住民ネットワークを広げたい」と語る。

 例えば、道内ではバイオ燃料の木質ペレットをつくる動きが活発になっている。

 これを美唄の家庭でも活用すれば地域間のエコ・ネットワークを築くきっかけになるだろう。

 住民や企業、市民グループなどを結びつける努力が必要だ。情報交換できる場もほしい。

*知の総動員が必要だ

 北海道には、石油に頼らなくても自前でエネルギーを十分にまかなえる下地がある。

 北大サステイナビリティ学教育研究センターの辻宣行特任准教授は、エネルギー分野での「北海道自立モデル」を提唱している。

 道内の年間エネルギー消費量は、石油換算で約千四十万キロリットルだ。風力発電やバイオマスなどの施設を整えれば、自然エネルギーによる代替は可能だという。

 環境先進国ドイツでは、自然エネルギーだけを使う自治体をつくり、「脱石油」を実現しようという新たな動きも始まっている。

 温暖化問題には、企業の経済的利害や個人のライフスタイルなどが複雑に絡み合っている。

 科学技術だけで解決できる問題でもない。

 行政が、従来のような「待ち」の姿勢を改め、住民の新しい発想や活動を支援する施策を能動的に打ち出すことが不可欠だ。

 地域を広く見渡し、経済や環境、社会制度など幅広い分野の「知」を総動員する必要がある。

 みんなが協働して活動できる社会的仕組みを作ること。これが北海道らしいエコ社会を実現するための第一歩になるだろう。

 
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