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【衝撃事件の核心】福岡女性殺害 「狂気宿る目」明るい少年が“女性の天敵”に変わるまで (1/4ページ)
福岡市早良区の早良警察署の裏口に姿を見せた男は、眼光鋭く報道陣をにらみつけ、そして笑った。福岡市の女性刺殺事件で強盗殺人などの容疑で逮捕された同市中央区の無職、野地卓容疑者(22)。明るく活発な少年だったが、高校退学後はアルバイトを転々とし、「この国はおれに合わねぇ!」と社会への鬱憤(うっぷん)を吐き出すことも。最近では奇行が目立ち、その果てにか弱い女性を狙って、執拗にナイフを突きつけた。送検される時の野地容疑者の目には“狂気”が宿っていた。
■「おい、ばばあ、金を出せ」…断られ、十数カ所を刺す執拗さ
早良署捜査本部の調べによると、事件の概要はこうだ。
「おい、ばばあ、金を出せ」
4月14日午後7時ごろ、福岡市早良区西新2丁目の住宅街で、自宅アパートを目の前にした田中久子さん(78)に野地容疑者が詰め寄った。
手には刃渡り約10センチの果物ナイフ。
田中さんが助けを求めて騒いだ瞬間、野地容疑者は田中さんの首や胸など十数カ所を刺したり、切りつけたりした。
胸の傷は肺に達する深さで、田中さんはほぼ即死状態だった。
騒ぎを聞きつけたアパートの男性住民が、野地容疑者をいったん羽交い締めにしたが、容疑者はこれを振り払い、刃物を持ったまま逃走した。
捜査本部は目撃情報などから似顔絵を作成した。すると、現場から南に約700メートル離れた同市城南区で3月25日、女性がナイフで刺され重傷を負った事件の容疑者の似顔絵とそっくりであることが分かった。
あごがとがり、目が細く切れ長という特徴が一致していた。
3月25日の事件の発生時刻は午後6時半ごろ。城南区鳥飼4丁目の建設会社社員寮の敷地内で、歩いてきた男が女性会社員(31)に向かって「お金」と口走り、女性が悲鳴を上げると、いきなりナイフで腹など4カ所を刺した。腹の傷は胃に達していた。