攻守に大活躍の平野。成功したオリックス『卒業』組の1人(クリックで拡大) |
阪神にトレードで移籍した平野の評価が高まるにつれ、オリックスに対して「走攻守そろった選手をなぜ出した」という疑問の声が大きくなってきた。昨年、トレードで放出した谷(巨人)、早川(ロッテ)、自由契約の中村(中日)が大暴れ、「それぞれの球団で活躍していますね」と宮内オーナーに皮肉られた球団関係者だが、再び窮地!?
昨年5月、トレードの失敗が顕在化したため宮内オーナーはフロント改革を指令。役職を解かれたり異動の憂き目にあった関係者が続出したが、むろん野球のプロは怯まない。「8年連続Bクラスのチームには血の入れ替えが必要。(オーナーの叱責を)恐れていては改革は進まない」と大見えを切った。
今オフ、平野、阿部健と浜中、吉野のトレードを断行した中には、フロントの意地も含まれている。
「阪神ブランドがほしい球団と、平野のガッツとスピードを必要とした阪神の思惑が一致。昨年、トレードでオリックスに入団した選手の大半が戦力にならなかったけど、今回は浜中が勝負強い打撃、吉野は貴重な左の中継ぎとして存在感を示している。いかんせん、マスコミの露出度が平野に及びもつかないのが…」と球界関係者。
平野は派手なヘッドスライディングなどガッツプレーで、早くも虎ファンを魅了。一方、浜中も満塁弾など通算12打点(チーム2位)でアピールするものの、わずかに及ばずか。
20日、東京ドームでの主催ゲーム(本社のお客さま感謝デー)を観戦した宮内オーナーからは「昨年よりは、ましでしょう」と大叱責はなかったものの、OBらは苦言を呈する。
「ローズら助っ人はあくまで一時的なもの。数年後、彼らがチームに残っているかは疑問だ。自前の選手を育てていかなくてはならないのに、チームの核になりそうな平野を“ケガが多い”などの理由付けであっさり放出。選手の使い方や育て方がお粗末過ぎる」
手厳しい指摘に球団サイドは、「トレードで獲得した選手はいずれ戦力になると思っている。短いスパンで失敗か成功かを決めつけないでほしい」と反論するが、選手の間には「優勝可能なチームでやりたい。出ていった同僚の活躍を見ると、オレも、という気持ちが…」と放出歓迎の機運さえ芽生えている。コリンズ監督が旗印とする「One Heart Beat」(鼓動をひとつに)にはほど遠い、内憂外患の状態が続く。(夕刊フジ編集委員・高塚広司)
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