KF-16墜落:米メーカーの欠陥指摘を無視
典型的な人災
問題となったエンジンは2000年に米国のプラット・アンド・ホイットニー社(以下P&W)が製造したものだった。P&W社は1993年から94年に製造したエンジンのタービンブレード(動翼)を支えるシャフトの一部で熱処理がうまく行かないことから強度に問題が発生する事実を確認した。そのためこのシャフトを2004年までに交換するよう韓国側に指示してきた。
調査の結果、KF‐16のエンジンにある34機すべてのブレード・シャフトのうち、事故機はP&W社が交換を指示した部品をそのまま使用していたことが分かった。結局、3年前に交換しておくべき部品が飛行中に脱落し、その破片がエンジンを損傷させて墜落したというわけだ。しかし、2004年6月29日の事故機に対する整備記録には「分解・調査の結果、エンジンに異常なし」と記録されている、と空軍の事故調査チームが発表した。
これについて現在軍当局では、整備士が分解もせずに虚偽の書類を作成したのか、あるいは分解して欠陥についての検証をした上でこのような記録を残したのか、確認作業を行っている。事故調査チームはとりわけ事故機の場合は34のブレード・シャフトすべてが交換対象となっており、実際にエンジンを分解した場合にこれを発見できない確率が低いという事実に着目し、憲兵ら捜査員を動員して当時の整備関係者らの行方を追っている。
一方、エンジン部品欠陥の連絡を受けてすぐに全機の部品を交換せず、2000年から04年にかけて26機のKF‐16のエンジンを段階的に点検し部品を交換した事実にも疑問が残る。空軍関係者は「戦闘機からエンジンを取り出して整備すると消耗品が多く費用がかかる。また米国側が緊急に交換すべきものではないと知らせてきたことから時間がかかった」と弁解した。しかしその間も、操縦士たちはいつ事故が起こるか分からない戦闘機に不安を抱きながら乗っていたことになる。
整備不良の代償は莫大だ。1機が425億ウォン(約52億円)もするKF‐16が水中に消え去り、一歩間違えば尊い操縦士の生命をも失うところだった。また今回は、韓国軍の整備責任で墜落したため、一切補償はない。
空軍はF‐15Kの翼の損傷事故やKF‐16墜落事故など、相次ぐ事故に対して一罰百戒の原則を適用し、関係者に対する責任追及と施設の安全性や整備管理システムを全面的に見直すと発表した。
ユ・ヨンウォン記者
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