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「いじめ」を考える2008年5月2日

 子どものいじめが、社会問題になって久しい。いじめとは「一定の人間関係のあるものから、心理的、物理的な攻撃を受け、精神的な苦痛を感じている者」とし、その判断は、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものと文科省は定めている。
 県教委員会の資料から、県内学校のいじめの状況を見ると、2002年から毎年増加し、05年度から06年度にかけては、小学校3・7倍、中学校1・2倍、高校5・4倍、件数で前年度比393件増の756件発見されている。具体的ないじめとして、冷やかし、仲間はずれなどとなっているが、陰湿で執拗(しつよう)に繰り返し行われていて、その対応の難しさがうかがえる。
 文科省が、「学校裏サイト」2000件について書き込み内容を調査してみると「うざい」「キモイ」などの個人を中傷する表現が約50%、「死ね」「消えろ」などの暴力表現も27%あり「ネットいじめ」への情報モラル教育も急がれる。
 いじめで、肝心なことは、子どもを孤立させず、「自分を守ってくれる親がいる」という親子の信頼関係を築くと共に、親としての温かい絆(きずな)の強さをしっかり伝えるべきだと思う。
 一方、いじめは大人社会にあっても個人や組織に限らず発生するし、いじめを乗り越え発奮し、反骨精神を培い成功した例は多い。県の青少年育成プランにおいても、子どもたちがいじめや困難な場面にあっても、ジンブン(知恵)を出して逞(たくま)しく生きる工夫をすることが提言されている。
 学校においても、いじめっ子を隔離することは不可能なことであろう。むしろ、子どもにあったトラブルを与えて自らに解決させ、自立の芽をはぐくみ、生き抜く知恵を身につけさせることだと思う。
(川満茂雄、沖縄県国際交流・人材育成財団理事長)


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