外食産業などでは、食材を中国産から国産に切り替える動きが広がっているが、価格差が大きい上に量の確保も難しいため、試行錯誤が続いている。
焼き肉店「牛角」を展開するレインズインターナショナルは、4月1日にニンニクをいったん中国産から国産に変えたが、同月中旬からは韓国産を使っている。国産調達は「コストと量の両面から不可能」と判断した。
外食大手すかいらーくもグループの中華レストラン「バーミヤン」のギョーザ用ニンニクを中国産から国産、韓国産に変えた。国産の量は3トンで全体の1割程度だが、その確保にも「国内産地を飛び回った」(広報担当)という。残りは韓国産に頼る。
国産野菜を使っていた業者にも影響が出ている。東京・神楽坂の料亭は「ネギやシイタケの値上がりが痛い。無駄が出ないよう調理に気を使う」と話す。
小中学校の給食でも、豚汁のサトイモを、自給率が高く価格が安定しているジャガイモに切り替えるところが目立っている。
一方、冷凍食品業界の動きは鈍い。食材の価格差だけでなく、皮むきや包装などを国内でやるとコストが増え「『安くて便利』という商品性が成り立たない」(大手冷凍食品会社)からだ。大手のニチレイは「中国産でも厳重に安全管理していることを消費者に知ってもらい信頼を取り戻すしかない」と話す。
財務省の貿易統計などによると、中国産野菜の輸入は90年代前半から増え始め、05年のピーク時には59万トンに達した。だが、中国産ホウレンソウから基準値を超える農薬が検出されるなど安全性に対する不安が高まり、06年の輸入量は前年比8%減、07年は前年比26%の大幅減となった。
今年1月、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件が報じられて以降は減少ペースが更に加速。2月の中国産野菜の輸入量は前年同月比約26%減、3月は35%減となった。消費者の中国産離れに加え、事件を受けて中国側が輸出品の検査を強化していることも要因だ。
毎日新聞 2008年5月5日 21時55分