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通信簿の“インフレ評価” 文科省が内申格差見直しへ (2/2ページ)
■学力より態度?
絶対評価について、文科省の調査(平成15年)によると、7割以上の中学教員が「入試にそぐわなくなった」「教員の評価活動が複雑になり余裕がなくなった」と感じている。
文科省では、小学校で23年度、中学で24年度から完全実施される新学習指導要領に合わせる形で見直しをはかる考えだが、議論百出が予想される。
愛知県内で学習塾を経営する教育コンサルタントの伊藤敏雄氏は、絶対評価について「テストが軽視され、仮に0点でも授業態度が良ければ『2』がつき、事実上『1』がない4段階評価に変わった。評価基準があいまいで教員の主観が入り、成績と学力が比例しなくなった。生徒の頑張り度合いと成績は分けて評価すべきだ」と話す。
全日本中学校長会長を務める草野一紀・東京都新宿区立牛込第二中学校長は「絶対評価は子供が努力した過程を記録できるので存続すべきだ」としつつも、「成績を甘くつければ高校入試が有利になる制度はおかしい。均一的で客観的な評価基準を徹底すべきだ」と指摘する。
森上教育研究所の森上展安所長は「学校の評定が『5』でも、塾のテストの偏差値は30台から60台まで割れる。通知表が信頼できない以上、各自治体は到達度テストを導入すべきではないか」と提案する。
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絶対評価と相対評価 絶対評価は学習目標に照らして習得した度合いを評価。「ゆとり教育」と呼ばれる現行学習指導要領実施に伴い、平成14年度以降、全国の小中学校で導入された。子供の努力が報われやすいが主観が入りがち。一方、相対評価では「5」「1」は7%、「4」「2」は24%、「3」は38%につけられた。客観性は高いが母集団のレベルが異なると単純比較できない。