借りパンダ1億円 人工授精中リンリンの子来るかも?2008年05月03日08時26分 東京・上野動物園で、もう一度パンダに会えるのか。いまの主流は中国からのレンタルで、つがいで借りれば年間1億円とされている。人気者の去就は、日中首脳会談のテーマにも上がる大問題だ。そしてもう一つ。もしかしたら、リンリンの子どもに会えるかもしれない。
上野動物園内のパンダ舎には、リンリンの遺影とともに、好物のササ、花が飾られている。悲報から3日目となる2日も、雨模様にかかわらず、多くの家族が訪れ、献花台に花束やリンゴを手向け、人気者の死を悼んだ。 「難聴の娘がリンリンを見て、『パンダ』という言葉を覚えました。彼女にとってリンリンに出会えたことが救いでした」「リンリン、たくさんの笑顔をありがとう」 記帳台のメッセージカードは2日間で1546枚。手紙、似顔絵も毎日、十数通届く。記帳台と献花台は6日まで置かれるという。 リンリンが本格的に体調を崩した今年初め、上野動物園を管理している東京都建設局の幹部が、外務省の中国課に出向いた。「新たなパンダを呼ぶ方策はないでしょうか」。しかし、そのとき、外務省側の回答はなかった。 日中国交正常化を記念し、上野にランランとカンカンがやって来てから35年余。いまや、動物園内で売られているおみやげの3割はパンダ関連。園内の食堂ではパンダ食のメニューまである。 日本政府は外交ルートを通じ、中国に2頭の貸与を要請している。しかし、まだ返答はなく、どのような形で実現するかも分からない。この問題は、7日に予定されている福田首相と胡錦濤国家主席との日中首脳会談でも取り上げられるとみられている。 それだけに、都の担当者は「首脳会談に期待している。できれば無償で、繁殖力のあるペアをお願いできれば……」。 希少動物のパンダは、ワシントン条約で国際取引が規制されている。中国は57年から26年間にわたり、友好の証しとして旧ソ連、北朝鮮、米国、日本など各国へ計23頭を贈る「パンダ外交」を展開した。しかし、最近は条約に抵触することを理由に、原則的に贈与しない方針をとる。 各地の動物園には、パンダを繁殖研究目的との理由で貸し出し、有償貸与が一般的だ。日本でも和歌山県の民間動物園アドベンチャーワールドと、神戸市立王子動物園に貸与パンダがいる。 契約内容は各動物園によって違う。王子動物園によると、野生動物保護を支援する寄付として、つがいでの貸与で年間100万ドル(約1億円)を中国側に払う。年に2回、中国から来るスタッフの滞在費と旅費も負担する。入園者の約6割は無料の小学生以下の子ども。純粋な増収効果では1億円はないという。 07年11月現在、世界で飼育中のパンダ242頭のうち、当時生きていたリンリンも含め、中国以外の国が所有するパンダは、たった5頭しかいなかった。中国籍以外のパンダをどう増やすかが課題だ。 実は、その一環でリンリンの凍結精液がメキシコのチャプルテペック動物園に保存され、人工授精が試みられている。この動物園には3頭の雌がおり、リンリンは3度、海を渡って婿入りしていた。 子パンダが生まれたら、どうなるか。基本的にメキシコ側に権利があるが、上野動物園の坂本和弘副園長は「複数生まれたら、もしかしたら1頭は上野へ、ということがあるかも」と話している。 PR情報暮らし
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