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海はゴミ投棄場ではない――とても深刻な海洋投棄
2005/12/30

 韓国人は誰も彼も魚介類を本当に好んで食べます。獲れたての新鮮な刺身も好きですが、牡蠣、さざえ、ウニ、ワカメ、カニに至るまで、海で生まれて育った動植物のほとんどを食用にします。

 そういった意味で考えると、海は私たちの食卓と言えるでしょう。朝、水揚げした魚介類はその日の午後にはテンジャン(味噌)チゲとして、刺身として、和え物として私たちの食卓に上ります。おかずと汁物の具材料が育つ海に、私たちは 陸地で処理できなかったあらゆる汚物と排水後の沈殿物を今日も流し捨てています。費用が削減できるという理由で、食卓を汚染させるというとんでもないことが今もとめどなく続いています。なぜこのような嘆かわしいことが起きているのでしょうか。

 私たちが処理費用削減を理由に、海に汚染物質を投棄し始めたのは1988年からです。1年に約980万トンにも達する汚染物質を東海(日本名:日本海)と西海(黄海)に、時には南海(朝鮮半島南岸の近海)にも捨てています。廃棄物の種類は主に生活下水の沈殿物、焼却場の有毒性のヘドロ、人間と動物の糞尿、畜産排水、汚染された浚渫土(※)など多種多様で、大部分が重金属などでひどく汚染された物質です。

(※)浚渫土:海底・河床などの土砂を、水深を深くするために掘削した土

 これらの収集されたゴミが運び込まれる集積所が馬山港内にもあります。廃棄物でいっぱいになった古びた廃船を目の当たりにするとその深刻さが感じられ、その周辺は鼻をつくとてもひどい悪臭と、病気にかかったクラゲの群れがぷかぷかと白く浮んでいる奇妙な現象を見せています。

 このように捨てられた廃棄物はそれほど長い時間を経ず、再び私たちの体内に入ってきます。日本海の深く青い海で育ったズワイガニが汚染されていたという知らせもあり、大型動物であるクジラの体内からも水銀をはじめとした重金属が検出されました。海に捨てられるヘドロの汚染度は想像を絶する程で、カドミウムが最大101ppm、クロムは4,186ppmも検出されました。

 汚染されたヘドロが捨てられた海域で採取された海産物が無事なはずはありません。発ガン性物質であるカドミウムの場合、貝類の食品基準値が2ppmであるのに対し、巻貝は20.7ppmで基準値の10倍を超え、一般的にズワイガニと呼ばれるカニからは6.4ppmが検出され、基準値の3倍を超えたそうです。

 しかし海洋水産部は海洋投棄地域の汚染の実態について、調査結果の詳細を公表していません。環境部(2003)によると、全国で発生した下水汚泥の73.3%が海洋に投棄されており、大邱、仁川、光州、大田、蔚山の5つの広域市と全羅北道は発生量をすべて海に捨てていることが明らかになりました。

 ロンドン協約事務局は韓国とフィリピン、そして日本が海洋投棄をしていると指摘しています。実際、日本の場合は海洋投棄比率が0.2%に過ぎませんが、韓国は海洋投棄比率が70%を超える、最悪の海洋投棄国家であることになります。担当部署である海洋水産部は海洋投棄を漸進的に減らしていくと表明していますが、実際の投棄量は増加傾向にあり、環境部は「高みの見物」とばかりに眺めているだけです。廃棄物を出さないために努力すべき自治団体が心配し、並べ立てているのは、費用のことばかりです。

 海産物が韓国の食生活を占める比重はとても大きいにも関わらず、海産物の安全に対しては政府を信頼することが本当に難しい状況です。海洋投棄と臨海公団の汚染行為など、汚染源に対する全面的な調査と海産物安全制度導入を通じて、国民が恐怖に怯えることなく、海産物を安全に口にすることができるように食品安全ネットワークを早急に確保しなければなりません。

 魚も貝も、カニに至るまで深く青い海に棲む生き物たちの無事が守られなければ、私たちが子孫に残してやれるものは、元の姿に回復するための計り知れない負い目と不幸な未来だけです。

 海が病めば人間も病み、海が傷つけば私たちも傷つくことになります。海はまぎれもなく私たちの食卓なのです。

(ユン・ミスク)

(ENVIROASIA)

11月29日、馬山港の海洋投棄船舶埠頭で行われた海上キャンペーン
















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[14434] 大統領はどうしているのですか
名前:牧野紀之
日時:2005/12/30 17:31
本当にびっくりしました。
大統領はどうしているのですか。
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[14430] 貴重な情報ありがとうございます。
名前:田中一郎
日時:2005/12/30 13:20
興味深く読ませていただきました。

日本でも不法投棄が問題になっていますが、70%とは同じ海を共有する国の人間としては他人事では無いですね。

ただ、日本の側から問題提起をすると、韓国の方の反発を招いてしまうという危惧を覚えます。

一刻も早く世論が盛り上がると良いのですけどね。マスコミの動きはないのでしょうか。
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