「言われてみれば、憲法による戦争放棄を軸にした国際会議はなかった。平和憲法を持つ私たちこそ、やるべきだと気付いた」
4日から千葉市の幕張メッセで開幕する「9条世界会議」の共同代表を務める。日本の憲法9条を支持する各国の著名人や平和運動家、イラク戦争の帰還兵らを招き、トークやライブもある平和イベント。NGO「ピースボート」などの発案で、若い世代に押し出されたかたちだ。
本業は翻訳家。「9・11」(01年)の後、インターネットで広がったメッセージをもとにした「世界がもし100人の村だったら」を出版し、生活が一変した。草の根の市民グループから経営者団体まで、今も年に100回以上の講演を引き受け、やわらかな語り口で「武力によらない平和」を説く。「有事法制や国民投票法。改憲への流れに多くの人が不安を抱いている」と実感する。
イラクでの航空自衛隊による多国籍軍の空輸活動は違憲と、初の判断を下した4月17日の名古屋高裁判決。自身も原告団に加わり、原告人席で喜びを分かち合った。「これに力を得て世界会議に臨む」と言い、初日のスピーチには自ら訳したジョン・レノンの「イマジン」の歌詞を盛り込む。
「さあ、想像して すべての人が 平和のうちに生きてあるさまを」
【明珍美紀】
【略歴】池田香代子(いけだ・かよこ)さん 訳書に「ソフィーの世界」など。9条世界会議(http://whynot9.jp)は6日まで。59歳。
毎日新聞 2008年5月1日 0時04分