少子化に歯止めがかからない中、西日本新聞社はこどもの日を前に、1人っ子を育てる母親50人に「あと何人産みたいか」を尋ねた。その結果、半数以上が「1人」と答え、2人以上を合わせると8割を超える人が複数の子どもを欲しいと願っていることが分かった。ただ、実際に子どもを育ててみて、多くの親が社会的支援の貧弱さを痛感。理想と現実の間にある溝の大きさが、あらためて浮き彫りになった。
■8割超が理想描く 「貧弱な支援」壁に
調査は、福岡市内の街頭で今月2日、学齢期前の子が1人だけいる母親を対象に実施。19歳から42歳までの計50人が回答した。44人は福岡県在住。残りの6人は佐賀、長崎、熊本、大分、山口県の在住者。
「あと何人産みたいか」の問いには、27人が「1人」とし、14人が「2人」、2人が「3人」と答えた。1人っ子のままでもいいとしたのは7人。育てたい子どもの平均数は2.22人という結果になった。
一方、厚生労働省が推定する昨年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1.32‐1.33。今回の調査でも「3人は欲しいけれど、経済的に厳しくて」という福岡県那珂川町の主婦添田由希子さん(27)のように、現実とのギャップに悩む人も少なくなかった。
調査対象の母親はいずれも子育て真っ最中。日々の生活で「大変なこと」を尋ねたところ、「実家が遠くて頼れる人が少ない」などの回答が多かった。福岡市博多区の主婦宇都あきさん(33)は「ベビーカーだとバスに乗りにくいなど、外出が大変」とハード面の不備を指摘した。
どんな支援が必要か。複数回答で多かったのは(1)経済的支援(26人)(2)保育サービスの充実(25人)(3)出産・育児後の復職・就労(11人)(4)フレックス制など働き方の柔軟化(5人)の順。福岡市博多区の主婦塚原理絵さん(31)は「男性も育休を取りやすくして」と注文する。
「子どもの多いにぎやかな家庭にしたい」と佐賀市の教員(27)。そんな願いを誰もが実現できる支援の充実が望まれる。
=2008/05/05付 西日本新聞朝刊=