自殺調査:浄土真宗本願寺派が1万寺院対象に

 硫化水素自殺の多発など自殺問題が深刻化する中、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺、京都市下京区)が同派の全寺院約1万カ寺(僧侶約3万人)を対象に「自死(自殺)問題実態調査」に乗り出す。自殺者の葬儀や自殺相談、遺族支援をした経験の有無などについて調べる。

 国内自殺者は警察庁の調べで、98年以降9年連続で年間3万人を超え、毎日80人以上が自ら命を絶つ状況が続いている。自殺を巡っては身近な家族を失ったショックで遺族が後を追おうとするケースもあり“自殺の連鎖”を防ぐためにも遺族ケアの重要性が指摘されている。

 こうした状況や自殺対策基本法の施行(06年10月)を受け、宗教者として僧侶が取り組めることはないかを検討。第一歩として、葬儀の際に遺族をケアできる立場にある僧侶への実態調査をすることを決めた。

 調査は5月中旬から開始。対策基本法や自殺の相談機関、対策支援団体の知識などを尋ねる。自殺者の葬儀で特別な法話をしたり配慮したこと、あるいは苦慮したことなどの具体的な体験も求める。「自殺予防・防止に僧侶がかかわることができると思うか」といった問題意識についても聞く。秋までに回収・集計し、11月に開くフォーラムで結果を基に意見交換を行う予定だ。【玉木達也】

毎日新聞 2008年5月5日 2時30分(最終更新 5月5日 2時30分)

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