というのも、俺を除いた家族は、札幌に帰省するからだ。
娘らは、友人達との濃密な予定をすでに作り上げ、指折り数えて待っていた。
札幌の、祖父母達も同様。
地味だが清楚な、なかなかいい服である。
「あんた昨日、寝ちゃって、けっきょく菖蒲湯に入らなかった」
あ〜、そういえばそうだ。
「溜めてくれ」
菖蒲というのは、もっと爽やかなイメージだったが、なんかこう、ネギっぽいんだな。
実家では、パラパラ入れていたような気がするが、妻のやることは大胆なので、長ネギの大束くらいにどっさり入っていた──そのせいかな。
スケジュール表を見ると今日だが、メールで確認すると、明日じゃないか。
拍子抜けするような、ほっとしたような。
まだあまり、体調が良くない。
鉛筆くらいの太さの雨だ──窓から見るにつけ。
小降りになっていた。
うちで二番目に大きなトランクが、やたらと重いようだ。
紅円が、漫画を詰め込んだらしい。
雨が上がっているのが救いだ。
四ツ谷で紅円と待ち合わせて、羽田に向かうことになっているらしい。
夕方から、東京ローカルのTV流しながら、いくつか企画書など書く。
少し体調が良くなる。
雨がまた激しくなる。
少し体調が良くなる。
浜松町(「空港快速乗ります」──乗る便にしては早すぎたんじゃね?)と、
羽田空港で、それぞれ、娘らから電話が来る。
「雨に濡れなかったか?」
「大丈夫だったよ」
「上のラウンジなんだろ?」
「そう。これからピザ食べる」
家を出るにも出られない。
これは幸いと、近ごろ気に入っている和食屋に出かけ、刺身や角煮やサラダなど。
その後、バーでウイスキー2杯。
帰宅し、友人と電話。
弁護士とメールのやりとり。その後、バーでウイスキー2杯。