アインシュタインが大科学者への道を踏み出すきっかけをつくったのは、五歳の時に父親から与えられたコンパス(方位磁石)だった。
どう回しても常に針が北を向く事実に、アインシュタインは興奮を覚えた。遠方から作用する見えない力。「物事の背後には隠された何かがあると思った」。後年の彼の言葉を「子どもにウケる科学手品77」(後藤道夫著)が記している。
天才ならではの洞察力、探究心とはいえ、コンパスがなければ才能が埋もれたままだった可能性もなくはない。エジソンの母が、家庭でできる科学実験の本を少年時代に与え、彼を導いた話も有名だ。
連休の一日、子どもたちの知的好奇心をくすぐってはみてはいかが。「子どもにウケる…」と同じく手軽な科学実験の紹介本が多数出ている。科学が苦手な人は参考にすればよい。
本紙朝刊は毎月一回、子どものページに「おもしろ実験研究所」を連載している。二日付は水が蒸発する時、周囲の熱を奪う気化熱の話だった。温度計の先をガーゼでくるみ、ガーゼの先を水につけて温度変化をみる実験をやってみた。結構わくわくした。
子どもと一緒に大人も楽しみ、子どもは長じて大科学者に。もしかして実現すれば、才能を開花させた新たなエピソードが歴史に加わるかもしれない。