中国に進出した日本企業で労働者によるストライキが頻発している。
コニカミノルタでは2月に、複写機やプリンターを製造している広東省の工場でストが起き、賃金を690元から820元に引き上げた。
また、カシオ計算機は3月上旬に同じく広東省でストに巻き込まれ、約3000人の従業員が仕事を放棄したという。
「生産委託をしている現地企業の『中国広州市番禺区旧水坑カシオ電子廠』での出来事です。ストは1日半で解決しました。長引かずにすんでホッとしています」(カシオ広報部)
さらに、ブリヂストンでは今月19日に江蘇省にある工場の従業員711人のうち350人が月額200元の賃上げを求めてストを開始。「現在、工場はすべて生産がストップしている」(同社広報部)状態で、いまだに解決の見込みが立っていないという。
それにしても、なぜこうもストが頻発しているのか?
「大きな原因は物価高です」と説明するのは経済ジャーナリストの柏木理佳氏(嘉悦大准教授)だ。
「中国では2月のインフレ率が前年同月比8%台と発表されましたが、現実はもっと深刻です。スーパーやコンビニでは肉や野菜といった食料や生活必需品が20%も上昇。家賃も同様です。それなのに労働者の賃金は1、2%程度しか伸びていない。生活苦からストが起きるのも当然といえます」
こうした動きは日本企業だけで起きているわけではない。今年1月1日に労働者の権利を保障する労働契約法が施行されて以来、他の国の企業でも発生。1月には広東省にある台湾メーカーの工場で従業員5000人がストに入る事態が持ち上がっている。北京五輪を控えて中国経済は一見活気づいているようだが実は青息吐息なのだ。
柏木理佳氏(前出)がこう指摘する。
「原材料が高騰しているうえに輸出先からの注文が減っている。今年から来年にかけて主だった企業の3、4割が赤字に転落するともみられています。そこに労働者の権利意識が高まって頻繁にストを行うのだから、中国に進出した日本企業は最悪の状態。今後2、3年はつらい状態で、製造業や食品関係企業は中国から撤退し、他のアジア諸国に生産拠点を移すことを考えざるを得なくなるでしょう」
バブル崩壊後、尻尾を巻いて欧米から撤退した日本の企業。今度は中国から逃げ出すことになりそうだ。
【2008年4月30日掲載記事】