ブロードバンドの普及により、Webにおけるビデオの使用は驚異的に伸びました。2007年3月に実施されたcomScore Video Metrixのランキング調査*によると、米国のインターネットユーザの7名中5名(71.4%)が、ビデオをオンラインでストリームしたことがあるそうです。また、2007年6月のPew Internet & American Life Projectのレポート*によると、米国の成人の47%が自宅に高速接続環境を備えています。
この傾向を推進するFlashビデオは、新しい種類の統合インタラクティブビデオコンテンツとアプリケーションを配信し、Webでビデオの新しいビジネスモデルを実現するために使用されています。Macromedia Studio 8とMacromedia Flash Player 8のリリース以来、Flashビデオは、ティーンエイジャーが忍者の格好でカラオケを歌うホームビデオから、映画の予告編、広告、テレビ番組シリーズに至るまで、インターネットのあらゆる種類のコンテンツに爆発的に使用されるようになりました。
現在のFlash PlayerとFlashビデオでも「没頭できる」ビデオ体験が可能ですが、ビデオを投稿している多くの人々が視聴者に提供したいと願う完全没入型の体験を提供できるまでには至っていません。この没入感をさらに高め、視聴者がブラウザのフレームを超えてコンピュータの全画面にコンテンツを表示できるようにするために、Adobe Flash Player 9のフルスクリーンモードを活用することができます。
フルスクリーンモードはあらゆる種類のFlashアプリケーションで使用することが可能ですが、この初期実装でFlash Playerチームが力を入れた主な用途はFlashビデオアプリケーションでした。したがって、フルスクリーンモードには多くのセキュリティ上の制約(詳細は次のセクションで説明)があり、そのために完全にインタラクティブなFlashアプリケーション、またはゲームの利点が制限されることがあります。これらの制限については、Flash Playerの今後のバージョンでこの機能の開発を続けながら対応していきたいと思います。
フルスクリーンモードは、以前のバージョンのFlashスタンドアローンプレイヤーとプロジェクタですでにサポートされており、その実装は変更されていません。ただし、スタンドアローンプレイヤーとブラウザプレイヤーの両方で動作する新しいActionScriptと、モードを有効にできる新しいHTMLタグパラメータallowFullScreenが追加されました。Flash PlayerのフルスクリーンモードはActionScriptから開始され、ActionScriptやキーボードショートカットを使用するか、またはユーザがフォーカスを別のウィンドウに切り替えることによって終了できます。
Flash Playerの最新バージョンをインストールしている場合は、ステージのどの部分を画面全体に表示するかを指定することもできます。 フルスクリーンモードに移行する前にfullScreenRectに値を割り当てると、ハードウェアスケーリングによってビデオを表示できるようになり、ビデオの再生パフォーマンスをさらに向上することができます。
ただし、ハードウェアスケーリングで表示するには、ユーザのビデオカードの機能を使用する必要があるため、ビデオカードでこの機能がサポートされていない場合は、元のソフトウェア描画によるフルスクリーン表示が使用されます。 また、ユーザの選択により、ハードウェアスケーリングをオフにして、元のソフトウェア描画によるフルスクリーンモードで表示することもできます。
フルスクリーンモードは、wmodeがウィンドウなしの不透明、または透明の場合にはサポートされていませんでしたが、Flash Playerの最新バージョンからはサポートされるようになりました。 ユーザが複数のモニタを持っている場合、Flash Playerはメトリックを使用してFlashムービーの割合が一番大きいモニタを判別し、このメインモニタをフルスクリーンモード用に使用します。
フルスクリーンモードを使用するにはFlash Player 9.0.28.0以上、ハードウェアスケーリングによるフルスクリーンモードを使用するにはFlash Player 9.0.115.0以上をインストールしている必要があります。
注意:フルスクリーンモードを終了するキーボードショートカットは、Escキー(WindowsおよびMac OS)、Ctrl+Wキー(Windows)、Command+Wキー(Mac OS)、Alt+F4キー(Windows)です。
エンドユーザのセキュリティはこの機能を実装する際の重要な考慮事項です。そのため、開発者は次のエンドユーザ、およびセキュリティ関連の制限とデザインコンテンツを理解している必要があります。
<object>および<embed>タグパラメータ、allowFullScreenをHTMLに追加する必要があります。このパラメータのデフォルト値はfalseで、フルスクリーンは使用できません。フルスクリーンを使用するには、開発者は<object>/<embed>タグでallowFullScreenをtrueに設定する必要があります。FullScreenDisable=1という行をmms.cfgファイルに追加して、フルスクリーンモードを無効にします。これらの制限はFlashプラグインとActiveXコントロールに適用されますが、FlashスタンドアローンプレイヤーやFlashプロジェクタには適用されません。
このチュートリアルを完了するには、次のソフトウェアおよびファイルがインストールされている必要があります。
注:Flash CS3 Professionalユーザ向けに、Flash Player 9 Update 3のすべてのデバッグ版とリリース版、および H.264をサポートする新しいビデオ再生コンポーネントを含むアップデートをご用意しています。このアップデートは、Adobe Update Managerを通じて入手するか、Flashサポートセンター*から直接入手できます。
Tracyは、インターネットがただのパソコン通信だった時代にMacromediaに入社。 2000年にいったんMacromediaを離れましたが、数年前にMacromediaに戻りました。 Flash Player、Breeze(現Adobe Connect)、Central、Director、Flashやその他多数のプロジェクトのデベロッパとして貢献しています。 また、カマキリカンフー(螳螂拳)の武芸者で、数学修士号も持っているので、彼女に盾突いたら大変です。