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松下の103型、20年度は5000台販売へ
松下電器産業は3日、市販の薄型テレビで世界最大である103型プラズマテレビの平成20年度の世界販売目標を、19年度実績比で約1・7倍にあたる5000台に引き上げる方針を固めた。家電量販店の激しい競争による価格下落で一部メーカーの収益を圧迫する薄型テレビだが、松下は実勢価格で600万〜700万円と高級車並みの巨大プラズマテレビの拡販を通じ、利益の上積みを狙う。
103型プラズマテレビは幅約2・3メートル、高さ約1・3メートルでセミダブルベッドとほぼ同じ大きさだ。主に海外で売れ行きを伸ばし、地域別に19年度実績(約3000台)をみると、中東3割▽欧州・米州各2割▽日本1割▽その他2割となっている。
中東の割合が高い背景には原油高によるオイルマネーの急伸があり、「王族が10人の子供に1台ずつ購入した」ケースもあるという。また、政財界や芸能界の富裕層が「ステータスシンボル」として購入している。
ただ、関西国際空港に納入されるなど、全体の7割は業務用で使われている。デジタル放送の画質を損なわずに再現できる「フルハイビジョン」規格に対応しているため、松下は公共施設の案内板である従来の大型ディスプレーに代わる製品として「潜在需要は多い」と判断。薄型テレビの世界首位を目指す松下にとって「技術の粋」を集めた103型の売れ行きが伸びれば「海外のブランド力強化につながる」とみて、上積みを目指すことにした。
こうした計画が可能になった背景には昨年、世界最大のプラズマパネル工場、尼崎第2工場(兵庫県尼崎市)が本格稼働したことが大きい。松下から103型パネルの供給を受けている日立製作所も、昨年秋から業務用103型ディスプレーの受注を始めている。
21年度以降、松下は開発済みの150型を発売する計画を立てている。日本や欧米市場で売れ筋の40〜50型に続く柱として、世界市場で「超大型プラズマ」メーカーとしての地位をさらに強固にしたい考えだ。