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「パプアと外交工作」台湾政権だまし31億円持ち逃げ

2008年05月03日00時15分

 【香港=野嶋剛】「パプアニューギニアと外交関係を結べます」と持ちかけられ、台湾の民進党政権が秘密工作資金31億円を振り込んだが、その後仲介者は行方をくらました。前代未聞のスキャンダルが明らかになり、だまされた責任者の邱義仁・行政院副院長(副首相)と黄志芳・外交部長(外相)は2日、事実を認めて陳謝した。

 台湾紙などの報道と外交部によると、06年に当時国家安全会議秘書長だった邱氏が黄氏に対し、同国とパイプを持つと称する財団法人副理事長(当時)と企業家を紹介。「先に資金を渡す必要がある」と言われた外交部はシンガポールの銀行口座に約3千万米ドル(約31億円)を送金した。

 交渉はしたが最後は「外交関係は結べない」。仲介の2人は資金返還に応じず、企業家を拘束。副理事長は姿を消した。台湾側はシンガポール司法当局に口座凍結を要請したものの、資金の有無は把握していない。

 台湾は99年にパプアニューギニアとの間で経済援助と引き換えに外交関係を樹立したが、中国の圧力などで撤回された。00年に誕生した民進党政権は中国の攻勢で外交関係を持つ友邦が減り続けて23カ国のみ。苦しい中、甘い言葉にうっかり乗ったようだ。

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