自身にとって、「愛してる」とはどのような言葉でしょうか?
「僕の場合は恋愛的なことよりも、すごく大切なソウルメイトとか、かけがえのないものに対して使う場面が多いですね。男女の恋愛ってすごく不確かで目に見えないものだから、その中で本当の愛を言葉で伝えるのって難しいことだと思ってるんです。好きだという気持ちは勿論あるけど、二人の出会いや暮らしはかけがえのないものであって、『愛してる』っていう言葉ひとつには二人の人生が全て詰め込まれていると思うんですよ」
そんな言葉をテーマにした今回の曲。どんなストーリーが描かれているんですか?
「この曲の主人公が大切なひとに伝えたい『愛してる』って言葉があるんです。でも、それは彼女の人生を背負うくらいの気持ちを持って伝えたいと思っているがために、まだそこまでの自信を持つことのできない自分との葛藤に苦しんでいて。だから虚像のような、カタカナの『アイシテル』になってしまう。自分だけでそれを背負うのは重過ぎると感じたり、愛をうたうだけの資格があるのかも不安なんですよ。でも、その不安っていうのはひとりよがりなものなんです。強がったりしながら弱さの中で自分が落ちていっても、この主人公は今、彼女の全てを受け止めた上での『愛してる』って言葉が似合う男になんてすぐにはなれないわけだから、そういう自分を誇れないなら、二人で支えあって生まれる今の愛のかたちを誇ればいいんじゃないかって思いますね」
自信を持ってその言葉を伝えられない主人公の心境とはどのようなもの?
「どうすることもできない痛みです。すごく痛くて苦しくて。これは恋愛以外でも僕くらいの年代の人たちにはよくあることで……動きたい、変えたい、もっと良くありたい。でも、動いてももがいても、何をしても変われない、変わらない。それが苦しい。そこに支えというものが入ってきて、やっと彼女のいる本当の意味がわかるし、それが自分の成長にも繋がっていくんです」
だから最後には「愛してる」って言葉で伝えることができてるんですね。
「『何度目かの喧嘩のとき 君は泣いてた でも好きと言った』というラインがあるんですけど、ここで彼は“彼女の支え”というものに気付かされるんです。『いくら泣き叫んだって』『幸せになれるかなんてわからない』自分たちに不安を感じながらも、女の子の方にだけは、それでも彼を支え、愛する気持ちだけは揺るがなかったんですよ。そこで彼は、大事なのは『今強くなること』とか『今彼女を幸せにすること』とかそういうことじゃないんだって……やっと本当の愛のかたちを見出すことができた」
そんなメッセージをどんな人たちに聴いてほしいですか?
「やっぱり、幸せな恋愛の中で自分や彼女のこと、二人の関係の行き着く場所などに対して少しでも不安や恐れを抱いている人たちに聴いてもらいたいですね。そしてそれはすごく簡単ですごくシンプルなことなんだと気付いてほしいです。主人公が気づいた大切ことっていうのは、そう言い合えるようになるまで二人で支えあって成長してくっていうことなんですよ」
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