まず救急センターへ 富山・小児夜間診療
2008年03月09日
夜間や休日に子どもの具合が悪くなった際、直接、重症者対応の二次救急病院を受診するケースが多く、二次救急の小児科医が重症者の治療に専念できない状態が続いている。富山市救急医療センター(同市丸の内)と富山市医師会(土田豊会長)は、初期救急を担当する救急医療センターを受診するよう呼び掛けるチラシを作成するなど、対策に乗り出した。
県内の救急医療体制は、軽症者を受け持つ初期救急を各地域の救急医療センターなどが担当。重症者担当の二次救急は富山、高岡、新川、砺波の各地区の公的病院が当番で対応する「輪番制度」を取っている。
富山市医師会が市内の一部の二次救急病院で行った平成十八年度の調査によると、受診者のうち救急車やヘリコプター搬送といった緊急性はなく、自家用車などで訪れた人の割合は76パーセント。入院の必要がない患者の割合も73パーセントだった。
同医師会の堀地肇救急・救急センター担当理事は「この二項目の該当者を仮に軽症と考えた場合、本来二次救急が担当する重症者は全受診者の25パーセント程度。調査対象を小児科に絞ると、軽症者の割合はさらに5パーセントほど増える」と話す。
若い夫婦の場合、子どもの症状を見極める情報や経験が不足し、慌てて大きな病院に駆け込むケースが多いとみられる。
同医師会は、二次救急の小児科医の「これでは重症者の治療に専念できない」との声や、内科医などと比べて数が少ない小児科医がぎりぎりの人数で輪番を担っている現状を受け、昨年十一月から対策を検討。初期救急を担当するセンターの受診を呼び掛けるチラシの作成を決めた。
チラシは、富山市救急医療センターには必ず小児科医がいること、センターでの治療内容、必要があれば二次救急に紹介することを説明。子どもの症状から対処法を参考にしてもらうため、日本小児科学会のホームページのアドレスも掲載した。A4判で二万枚作成し、四カ月健診で配布したり、市内の各小児科で掲示している。四月からは富山市の母子健康手帳にも掲載する。
同医師会の村上美也子乳幼児・学校保健担当理事は「小児救急医療を地域全体で守っていきたい。初期救急の救急医療センターを上手に活用してほしい」と話している。
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