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市民ミュージカル:憲法テーマに5~77歳、94人が迫真の演技--日野 /東京

 憲法を楽しみながら学んでもらおうと、若手弁護士らが企画した市民ミュージカル「ロラ・マシン物語」が5日、日野市民会館で公演初日を迎える。公募で集まった5~77歳の出演者94人は1月以降、150時間の練習を重ねてきた。市民が自らの手で憲法と平和、人間の尊厳へのメッセージを発信する。【川崎桂吾】

 ◇元慰安婦の生涯描く

 物語はフィリピン人の元慰安婦で昨年亡くなったトマサ・サリノグさん(当時78歳)の生涯。太平洋戦争下、13歳の時に目の前で父を日本兵に殺害され、2年間も慰安婦を強制された。戦後は差別の目にさらされながらも、母の形見のミシンを支えに強く生きた。「ロラ・マシン」はそんな彼女の愛称だ。

 トマサさんを演じるのは劇団俳優座の有馬理恵さんだが、ほかの主な配役は公募の市民が演じる。脚本と演出を手がける田中暢(のぶる)さん(62)は「彼らにはプロの役者とは違う強みがある。それぞれの人生をそのまま役にぶつけてくるので、迫力のある舞台に仕上がっている」と太鼓判を押す。

 練習は主に毎週末。4月中旬にあきる野市であった合宿では、日本政府に謝罪と補償を求めたトマサさんの支援者の講演も聞いた。その後は田中さんの厳しい指導を受け、舞台の終盤で披露する難易度の高い踊りに挑戦。汗だくになりながらトマサさんの生涯を歌い上げた。

 最高齢の八王子市の元小学校教諭、池田周子(のりこ)さん(77)は、1945年の東京大空襲でいとこを亡くした体験が今回の参加に結びついた。「ずっともやもやとした気持ちだった。今の私にできるのはこれ。戦争や慰安婦の問題について叫び続けなければならないと思った」と話す。

 中野区の会社員、幾石祐代(きせきさちよ)さん(27)は友人の誘いで参加したが、今ではもう舞台の虜(とりこ)。「夢でまで踊っている」といい、「慰安婦のことはほとんど知らなかった。私たちのミュージカルを見て、少しでも戦争のことを知ってもらう機会になればうれしい」と話した。

 ミュージカルの主催者で若手弁護士でつくる「LIVE!憲法ミュージカルinさんたま」の事務局は「何が過去に起きて、何を未来に伝えていかなければいけないのか。一緒に考えてほしい」と呼びかけている。

 ◇3市でも今月に上演

 日野市民会館を皮切りに、17日に多摩市のパルテノン多摩、18日に福生市民会館、24、25日には立川市民会館で上演される。チケットは一般2500円、高校大学生2000円、中学生以下と障害者は1500円。問い合わせは事務局(042・513・4048)。

〔多摩版〕

毎日新聞 2008年5月3日 地方版

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