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2次救急輪番制:伊賀・名張で導入1カ月 受診患者数530人、昨年比大幅減 /三重

 ◇昨年同月比、大幅減

 ◇「勤務医の負担減」評価 一部医師、制度に疑問の声も

 勤務医の負担軽減を目指し、伊賀地域の3総合病院が4月から始めた2次救急輪番制で、4月中に3病院で2次救急を受診した患者数が計530人と、昨年4月に各病院が受け入れた2次救急に相当する「時間外救急」患者計1405人から大幅に減少したことが2日、毎日新聞の調べで分かった。各病院は「確実に勤務医の負担減につながった」と評価する一方、一部の医師からは、制度に対する疑問の声も上がっている。【傳田賢史、金森崇之】

 ◇搬送時間20分増--伊賀市消防本部「悪影響なし」

 輪番制を実施しているのは、伊賀市の上野総合市民と岡波総合、名張市立の3病院。平日の午後5時から翌日の午前8時45分、土日祝日の午前8時45分から翌日の同時刻まで、あらかじめ担当病院を決め、2次救急患者を受け入れている。残り2病院では患者は受け入れない。これ以外の時間では、各病院が2次救急患者を受け入れている。

 4月の2次救急受診者530人の病院別内訳は、上野総合市民160人▽岡波総合147人▽名張市立223人。岡波総合病院の吉川義廣事務長は「入院や、手術が必要な患者が対象という事前の周知もうまくいき、勤務医の負担減につながった」と評価。その一方で「この時期は温暖で患者も比較的少ない。1年間のトータルで比べる必要があるだろう」と話している。

 また、名張市立病院では自家用車での救急受診が減り、救急車を使う割合が急増した。昨年4月は、時間外救急518人中、救急車は103人(19・8%)のみだったが、先月は223人中、同135人(60・5%)と40・7ポイント増加した。

 患者の搬送を受け持つ2市の消防のうち、伊賀市消防本部によると4月以降、名張-伊賀間の搬送時間の増加は約20分程度で、「事前の予想通り」だった。現在まで、それに伴う患者の容体悪化など目立った悪影響はないといい、東庸介消防理事は「患者に『今日は市外の病院に搬送します』と伝えると、『それならいいです』と搬送を辞退するケースもある」と話し、そのうえで、「両市の人口は計19万人。それまで二つあった2次救急の受け入れ先が一つに減ったのだから、どこかにしわ寄せが行くのではないか。これ以上の縮小がないように願いたい」と訴えた。

 地域の医療関係者からは、制度に疑問を呈する声も上がっている。デイサービス事業も営む、ある医師は「当番でない日でも掛かり付け患者は受け入れるべきだ」と主張する。医師によると先月14日午後8時ごろ、心臓に持病を持つ女性の容体が自宅で急変した。この女性はデイサービスに通っており、連絡を受けた医師が、女性が普段から通い、カルテのある病院への搬送を訴えたがかなわず、数時間後、運ばれた当番病院で亡くなったという。輪番制と死亡との因果関係は分からないが、医師は「掛かり付け病院に運ばれていたら、少しでも早く治療を始められた。(制度を続けるなら)3病院での電子カルテの共有など対策が必要だ」と訴えた。

〔伊賀版〕

毎日新聞 2008年5月3日 地方版

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