街を住みやすく変えることは、さほど難しくないように思えてきました。スウェーデンの第三の都市・マルメのリーパル市長に街づくりの話を聞いた感想です。
首相や環境相とともに来日、東京でのシンポジウムで取り組みを報告し、山陽新聞のインタビューに応じてくれました。
基幹産業の造船などが低迷して工業都市から脱皮を図ろうとした時、目指したのは人や環境に優しい街でした。効率的な地域暖房システムや廃棄物管理、鉄道への投資、自転車道の整備といった施策展開の中で、経済的発展も遂げてきました。
環境と共生しない開発は長続きしない。そんな確固たる思いが貫かれ、成果を上げてきた自信もにじみます。とかく理念が欠けていた岡山などの都市づくりとは、明らかに違うものがあります。
マルメ発展の大きな契機が、対岸のデンマーク・コペンハーゲンを結ぶオーレスン橋の開通でした。両岸地域が一体的な広域都市圏として、連携を強めたことが、地域の振興につながったのです。四年ほど前に現地を取材し、企業進出など架橋効果を実感しました。
二十周年を迎えた瀬戸大橋は五月二十四日、オーレスン橋と姉妹橋縁組します。瀬戸大橋はこれまでも米国・金門橋などと縁組していますが、いわば形式的なものでした。しかし、今回のオーレスン橋は、両岸地域一体化による経済効果や、橋のたもとのマルメ市の都市政策など、学ぶべきものが多いのです。
岡山、香川の連携強化など実際の地域施策に生かし、有意義な縁組にすべきでしょう。
(東京支社・岡山一郎)