里山へ出かけるのが楽しみになってきた。遠目に見ると白っぽかった山々が、爆発したように淡い緑の葉っぱを出し始めたからだ。
どこでもよい。森林にわけ入って、頭上を見上げれば、日の光に透かされた若葉が本当に美しい。たまっていたストレスが、緑のシャワーのおかげで洗い流されるようだ。
植物生理学を研究している甲南大学の田中修教授は、近著「葉っぱのふしぎ」(サイエンス・アイ新書)で「葉っぱはかわいそう」と語る。花や実に比べ、もてはやされる機会が少ないのが理由だ。図書館で調べても葉っぱの本は確かに少ない。
昼と夜の時間を正確に測り、花の咲く時期を調節するのは葉っぱの役目だ。教授は、葉っぱの活用方法としてツル植物を家の壁や窓にはわせ、暑さをしのぐ「緑のカーテン」を勧める。葉っぱから出る大量の水分の蒸散作用による冷却効果で、省エネと温暖化防止にも役立つという。
葉っぱの最も重要な役割は、誰もが知っている光合成だ。温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し、でんぷんやエネルギーを作る。現代科学の力をもってしても、まねることはできないことを強調している。
葉っぱが植物に、花を咲かせ、実や種を作る。地球の生命の源は葉っぱである。黄金週間は新緑を楽しむことにしよう。