2008年5月1日

ヒットが出ません。ヒットになりません。
チームが勝ってよかったけれど、やっぱり寂しい。
当たりはよくても好守に阻まれているような状態が続くため、
ついにはまわりの選手が笑い出しました。
顔が会う選手、会う選手、
「今のはヒットだよなー」
「明日は別の日だよ」
「もう、出たも同然！」
って、俺のヒットは蕎麦屋の出前か！
しかもみんな笑ってる。あまりの惨めさに、同情どころか
笑いがこみ上げてしまうのでしょう。

さらにはファンが、拍手で迎えてくれる・・・。
フィリーズなら、とっくにブーイングされていてもおかしくない。
なのに、バッターボックスに入るときの拍手が沸くのです。
ブーイングされるよりつらい・・・。

エリック（ブラントレット・内野手）は泣きそうな顔をして
「なんでヒットが出ないんだろうなあ・・・？」とやってきました。
ランンドリー（洗濯場）の前の立ち話。
「俺が運にも見放されてるってことやね」
自嘲的に言ったちょうどその時、
誰かの投げたスパッツが、べしゃっと僕の顔に当たりました。
漫画のような出来事。
「・・・ほら・・・・」
「ホンマや〜！」

さーらーにー。

家に帰ったら、おかずのひとつがおいしそうな麻婆豆腐でした。
うきうき食べた一口目が、「ん？」
なんとそれは麻婆豆腐ではなく、ヨメがすっぱいキムチを処分するためにアレンジした、
麻婆豆腐風「キムチとひき肉と豆腐のとろみ炒め」だったのです。
ええいっ！紛らわしいわっ！
これ自体は実は大変おいしいのですが、
麻婆豆腐だと思って食べたら違ったので、
そのショックは大きい。あたかもヒット性の当たりを
好守に阻まれたよう・・・。

家でもかい！

「わかった。ヒットが出ないのはこのマーボーもどきのせいや！」
僕は高らかにそう宣言しました。
こうなったら、当分は誰のせいにでもしたんねん。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年4月30日

本日「サインデー」です。
サイン会ではなく、球団側が用意したグッズに、サインを入れる日。
それがＭＬＢの公式商品となって売り出されるのです。
カージナルスでは、数ダースのボールに書いて終わりだったので、
そのくらいかな、と気軽にクラブハウスに入っていったら、
一瞬倉庫に紛れ込んだかと思いました。
ボール、キャップが各選手のロッカーの前にうず高く積まれ、冗談を言い合う暇もないほど、
全員が黙々とペンを走らせています。１００単位のグッズはなかなか減らず、
書いているうちになんだか頭がふわーっとしてきます。

「見て見て、この手！」
必死に書きすぎて、ジェフ（ジェンキンス・外野手）の手が
ぷるぷる震えていました・・・。

このグッズを楽しみに買ってくれるファンがいる、というのはありがたいこと。
さらに、試合前に手首を酷使した結果、余計な力が抜けるのか、
ジェフは本日、ぷるぷるしながら猛打賞。
僕は力が抜けたまま、出番がなくて試合終了。
心がぷるぷるしています。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

2008年4月29日

サンディエゴとの試合で、久しぶりにジミー（エドモンズ・外野手）に会って、
いかに西海岸の英語がわかりやすいか痛感しました。
東にいると、スピードはあるし、なんとなく口の中でくぐもっているような発音が多くて、
なかなか聞き取りにくいのです。
初めて英語に触れたのがテネシー州メンフィスだった関係で、南部訛りには
かなり対応できるのですが、東は苦しい。
でも、アメリカ人でさえ「東海岸の人は・・・」「東海岸の英語は・・・」と、何かと
「東の違い」を口にするくらいですから、日本人の僕がびっくりするのはむしろ当たり前なのでしょう。

ところで、最近バッティング練習をまともにさせてもらえません。
なぜか僕がケージに入ると、チャーリー（監督）やグレッグ（ダブス・内野手）が
ケージの後ろにやってきて、べらべら話し始めるのです。
それだけならいい。さらに、話しかけてくるのです。

僕、今、打ってるんやけど・・・。

チャーリー「日本人って裸でバスタブに入るんだぜー」
グレッグ「ええー？マジっすかあー？」
チャーリー「そうだよねー？ねえ、ソウ、そうだよねー？」
カキーン。カキーン。
僕「はい、そうですそうです」
チャーリー「俺なんか最初入ったら触られちゃってさあ。すごい胸毛やなーって」
グレッグ「ええーっ。ソウー！胸毛珍しいの？」
チャーリー「な！ソウ！そういうのってあるよなー？」
カキーン、カキ・・・。
僕「はいはいはい。そうですね。はいはいはい」

相槌よりも、ボールをうたせて、ください、プリーズ！
もう、すっかりかんくんの気分。

ペンシルベニア州フィラデルフィアにて　田口壮　

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