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偶然?それとも…(一話完結)
日時: 2008/03/13 00:13
名前: 焔の御霊

すっごく久しぶりの焔の御霊です。

初めての方はこれから記憶の片隅にこの名前を置いてくれると嬉しいです
久しぶりな方は「あ、こんな奴いたな〜」みたいな感覚で構いません。
いろいろあってこれなかったんですけど、連載している方はちゃんと完結させますので。

連載を完結させる前にリハビリを兼ねて何本か一話完結を投稿しようかと思っています。
まだまだ未熟な僕ですが暖かく見守ってください。


では、どうぞ


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偶然というものは恐ろしい、いつどこで何が起きるか分からない。
たとえば、私は生まれた時から体が弱い。
「なぜ私だけ」と思ったことも1度や2度ではない。学校もそのせいで休みがちになり留年してしまった。
もともと編入生や飛び級が多い学校だから留年してもそれほど悩むほどのものでもない。生徒会のメンバーもいる。
大丈夫、そう自分に言い聞かせる。


私は図書室の前に来ていた。理由なんてない。親しい友達もみんな帰ってしまった。俗にいう気まぐれというやつだ。


図書室に入ると、先日、咲夜さんの誕生日のパーティで知り合った綾崎君がいた。


「あら、綾崎君、こんにちは」


「あ、副会長さん、こんにちは」


「愛歌で構いませんよ。副会長さんって呼ばれるのもちょっと」


何気ない会話、何気ない挨拶、そのまま通り過ぎればよかったのになぜか私は彼の隣に座った。


「何をしているの?」


「えっと、今日はお嬢様からお休みをいただいたのですこし勉強でもしようかと」


彼はテーブルの上にノートと参考書を広げていた。
男子にしては綺麗な字で重要な部分には赤色や青色のペンでアンダーラインや吹き出しをつけていてとても見やすいノートだ。


「ずいぶんと綺麗な字を書くのね。あ、でもここちょっと違う」


「え、どこですか?」


「ここは、こう訳すの、確かにこちらの意味でも間違ってはいないけれど、こっちの方が適切なの」


「へぇ〜、そうなんですか。ありがとうございます。頭いいんですね」


「まぁひとつ上ですし」


それから私は彼に、綾崎君に勉強を教えていた。なぜだろう?今日何回目になるか分からない疑問を抱きながら私は頭を悩ませていた。
勉強も一区切りついたところで少しいたずらをしてみたくなった。


「で、会長とはどこまで行ったの?綾崎君」


「な、なんなんですかいきなり////それに僕とヒナギクさんは何でもありませんよ」


「じゃあ、嫌いなの?」


「い、いえ、ヒナギクさんはその、美人ですし、頭もいいですし、嫌いになる要素なんてないでしょう?/////」


「じゃあ、好きなんだ」


「だから違いますって/////」


「ふ〜ん、じゃあ、好きでも嫌いでもないっていうことで♪」


「あんまりからかわないでくださいよぉ〜/////////」


顔を真っ赤にして涙を眼に溜めるて訴える綾崎君がすごく可愛かった。そして何より楽しかった。満足感が私を満たしてくれる。
彼は特別何かをしたわけでもない、ただ私と他愛もない話をしただけ、というより私がからかっただけ
だけど、それだけでなぜか心が温かくなる。
そして、もう少しだけ彼を知りたくなった。


「ちょっと喉も乾いたし、カフェテリアでも行く?」


「えぇ、かまいませんよ」


綾崎君はそう言って勉強道具をしまい、席を立ち私の隣にならんで歩く。


カフェテリアに向かう途中に気付いた点がいくつかある。


彼はやさしい……
誰もが見過ごしがちなやさしさ。
私が歩いていると私に歩調を合わせて歩いてくれたり、私が極力気付かれないように咳をしても必ず「大丈夫ですか?」と声をかけてくれる。


それは当り前のやさしさ、しようと思えば誰でもできること
でも、当たり前を当たり前にするのはとても難しいこと。
私はその小さなやさしさがとても嬉しかったし、そのやさしさを探すのが楽しくなっていた。


カフェテリアにつくとお客さんはあまりいなかった。
春が近くなって暖かくはなっているがまだ少し肌寒い季節
綾崎君は私をテーブルまで誘導すると椅子を引いてくれた。
これも綾崎君のやさしさ……


「愛歌さんは何にします?」


「そうね、じゃあ、綾崎君決めてくれる?」


「わかりました。では、カフェオレを二つ」


綾崎君は注文を済ませると私の方を向いて笑ってくれた。
いや、特別ニコニコしているわけではない、表情が柔らかいだけで笑っているわけではないけど、私にはそれが笑っているように見えた。

カフェオレが二つテーブルに置かれた。
私はティーカップを持ちカフェオレを口に運ぼうとするが綾崎君に止められた。


「あ、熱いらしいので気をつけてくださいね。」


「あら、ありがとう」


私は綾崎君の忠告を聞いて少し時間をおいてみる。


「あ、もういいと思いますよ。」


彼がそういうので私は再びカフェオレを飲む、飲むと熱すぎず冷たすぎない丁度いい温度になっていた。


確かに私が彼の忠告を聞かずに飲んでいたらやけどしていたかもしれない。


「すごいのね、丁度いい温度だったわ」


「これでも三千院家の執事ですので」


カフェテリアで雑談をした後、時間が時間だったので帰宅することになり、校門まで来た。


「愛歌さんは車ですか?」


「えぇ、さっき迎えを呼びましたから、あと10分くらいで来ると思うけど、どうしたの?」


「いえ、その、もし車でないなら送って行こうかと」


また彼のやさしさを発見した。
車を待つ間、外は寒い所為かいつもより咳をする回数が多い気がする、体も少し震えてきた。


「大丈夫ですか?顔色悪そうですけど」


「こほっ、ありがとう大丈夫よ、最近は調子がいいから」


こほっ、こほっと咳をする間隔が短くなって少し辛くなってきた。


(最近は調子が良かったからって少しはしゃぎ過ぎたかしら、でも、ここで苦しんだら綾崎君に迷惑が………)


私がそう思っていると後ろから綾崎君が自分が来ているコートとマフラーを貸してくれた。


「気休めくらいにしかなりませんけど」


と笑いながら言ってくれる綾崎君の笑顔と、彼がかけてくれたコートとマフラーは私が今まで感じてきた何よりも暖かく、心地よくそして


「ごめんなさい、私、小さいころから体が弱くて」


「いえ、僕なんかでよかったらいつでも頼ってください。」





誰よりも、頼もしかった……





私はいつしか彼の笑顔に釘付けになってしまっていた。そんな中、彼の携帯が鳴る。
すいませんと言って、メールを確認している間に私は彼に背を向けて自分でもわかるくらいに顔を赤くしていたと思う。



「ごめんなさい、お嬢様より至急帰ってこいとの連絡を受けたので失礼します。」


と言って彼は帰って行ってしまった。


彼がいなくなってから数十秒後自宅の迎えが来た。


「お嬢様?そのコートとマフラーは?」


「これ?これはね、借りたの、友達から」


「そうですか、外は冷えるので早くお乗りください。」


私は車に乗り込み今日の放課後のことを考えていた。


偶然入った図書室で、偶然出会った彼と話をしてやさしさに触れてそして、惹かれた


(会長たちが好きになる理由もわかるかもしれませんね。)


その日の出来事を私は偶然とは言わないことにした。


「運命……っていうのも悪くないかもしれないわね」


「何かおっしゃいましたか?」


「いえ、なんでもないわ」


「綾崎…ハヤテ君か……もっと知りたいな……」


彼に出会ったのは偶然ではない













そう、『運命』だと、そう思いたい………



Fin




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久しぶりの投稿です。
今回は愛ハヤ?を書いてみました。

特にラブラブした雰囲気はなく、長いだけで読み応えがないかもしれませんが
結構頑張って考えました。

誤字の指摘とかあればお願いします。

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Re: 偶然?それとも…(一話完結) ( No.1 )
日時: 2008/03/13 22:18
名前: 真司

焔の御霊さん
読ませてもらいましたが面白かったです。

愛歌は好きなキャラクターですが小説が少なくて貴重です。

そして、交友話も好きなので次回作も頑張ってください。
次回作も愛歌だと嬉しいです。
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Re: 偶然?それとも…(一話完結) ( No.2 )
日時: 2008/03/14 20:15
名前: 焔の御霊

真司さん、感想ありがとうございます。

僕も愛歌は好きなキャラなんですから小説が少ないのは本当に残念です。
まぁ単行本ではハヤテとの会話がほとんどなくてキャラが掴みずらいっていうのもあるとおもいますが……

次回作は愛歌ではないかもしれませんが、いつか愛歌中心の話を連載してみたいですね(笑
未熟ながら今後も頑張らせてもらいます。
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Re: 偶然?それとも…(一話完結) ( No.3 )
日時: 2008/03/15 10:59
名前: 充電池
参照: http://hinayume.net/hayate/subnovel/read.cgi?no=2243

らららー、こんにちはw 充電池です。

ハヤ×愛歌…僕が最近はまっているカップリングですねぇ。
「偶然」入った図書室でハヤテと出会い、おちょくってみたり…。
そうしてハヤテの優しさに触れ、軽い気持ちだったのに……

最初は偶然だと思っていたのに後から運命だと確信する…つまりそれは新たなフラグが…
っとまぁ、色々と妄想を膨らます僕ですが、実は愛歌についてあまりよく知らない…。

そんな中、焔の御霊さんの小説は、僕に新たな知識を植え付けてくれました。
感謝でいっぱいです。  では。
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