揮発油税の暫定税率が復活した1日、県内では奄美市で1リットル当たり180円台にまでガソリンが高騰。値上げした給油所に入る車の数は少なかった。低い価格のままのスタンドもあったが、いずれも客足は悪く、業者と消費者の両方から不満の声が相次いだ。
奄美市名瀬の給油所では軒並み値上げに踏み切り、奄美大島の平均価格は180円前後。前日、通常の3倍の駆け込み需要があったというスタンドでは一転して客が激減し「最悪。職員も帰した」とぼやいた。50歳代の男性教諭は「離島の交通手段は車しかない。ガソリン代に離島割引がほしい」と訴える。
500メートル以内に給油所4店が立ち並ぶ、いちき串木野市の串木野駅近くの国道3号沿い。値上げ店と据え置き店が出て対応が分かれた。
30円値上げの160円にした店では、普段の1割の販売量。閑古鳥が鳴く店内で寺田昌弘主任(27)は「連休も遠出を控える人が多いようで期待できない。ガソリンスタンドが一番被害に遭った」と恨めしげ。同市大里の会社員男性(52)は据え置き店で給油。「ちょっと得した気分だが、こんな混乱は迷惑。政治家は国民のことを考えていない」と話した。
一方、鹿屋市から宮崎県都城市に抜ける国道269号沿線では、据え置き店が目立った。
大崎町の給油所では、4月末に客が殺到した影響でコンピューターの設定が間に合わず、前日と同じ126円で販売。男性店長(58)は「それでも通常の半分ほどの客しか来ない」と困惑気味だった。2日から156円に値上げする予定で、店長は「さらに客は減るだろう」と不安げに話していた。
価格を据え置いた鹿児島市鴨池新町の給油所も客足は普段の半分程度。男性会社員(35)は「高くなっていると覚悟して来たので得した気分」と笑顔だった。競争が激しい同市宇宿地区のセルフ店は、値上げのタイミングを見計らっている。税率廃止の影響で100万円以上の損益を出したが「他店より先に高くするわけにはいかない」と苦しい胸の内を明かした。
県石油商業組合は、4月下旬に135円程度だった県内の平均価格が、165円程度まで上がると予想している。
=2008/05/02付 西日本新聞朝刊=