揮発油(ガソリン)税の暫定税率が復活した1日、県内の多くのガソリンスタンド(GS)でも値上げ。前日の混雑とはうって変わって閑散とした状態となった。ただ、「在庫分が残っているうちは今のままで」「他店との価格競争」と値上げを見合わせる店も一部あった。
和歌山市榎原の秋月石油パーム木ノ本給油所の竹内康之マネジャー(46)は「閑古鳥が鳴いてますよ」と苦笑い。31円上げてレギュラー1リットル166円にしたが、客足が途絶えた。周辺のGSと価格競争が激化している中での今回の騒動。「通常の3倍売れた日もあったけど、もうけたわけでもない。お客さんから『高いね』という声を聞くとつらい」と話す。前日までに給油できなかったという運送業の男性(50)は「一気に30円以上も上げられて納得いかない」と不満顔だった。
一方、在庫が残る個人経営のGSは「価格に振り回されたけど、お客さんには誠実にしないと」と130円台で販売。大手セルフスタンドでは110~120円前後に据え置いた店も。ある所長(31)は「ライバル店の出方次第。(価格を上げる)めどもまだ立ちません」。アルバイトの男性(65)は「せめて連休明けまで待ってくれたら。与党には人の気持ちあるんかな」と、恨み節も聞こえた。
前夜遅くまで行列ができた有田川町水尻のGSは31円値上げし、1リットル155円。乗り入れたものの、給油せずに立ち去る車もあり、男性社員(43)は「予想はしていたけどショック。おそらく連休明けまでこの状態が続くのでは」と嘆いた。
湯浅町栖原のGSも33円値上げして162円に。前夜は最高81台だった1時間あたりの給油件数がゼロの時間帯も。店長の男性(49)は「今年はゴールデンウイークの売り上げが見込めない」と肩を落とした。10リットルだけ給油した集配業の男性(45)は「やっぱり高い」と話した。【藤顕一郎、加藤明子】
県は4月30日と1日、78店舗にガソリン、軽油価格の聞き取り調査を実施した。1日の平均価格は、1リットルあたりガソリンが160円、軽油が140円で、30日からそれぞれ29円、21円上昇。ガソリンは120円台後半~170円超と幅があった。
暫定税率失効前の3月31日から、同じ店舗の価格を追跡調査している。ガソリンの平均価格は同日が151円、4月1日に141円、同10日に132円だった。今回、「価格を据え置いた」と回答したのはガソリンで5店舗、軽油で4店舗だけだった。
また、県道路政策課によると、暫定税率復活を受けて新たに国から予算内示があり、工事38件計8億4000万円分、用地・補償1件1000万円の契約保留を解除した。国道42号有田海南道路(9・4キロ)と、国道480号鍋谷峠道路(4・1キロ)も新規事業化された。【最上聡】
4月30日で期限切れだった自動車重量税の暫定税率も維持されることになった。和歌山運輸支局では1日、暫定税率の行方を見極めようと4月中の自動車の車検更新手続きを控えていた整備業者らが訪れ、申請窓口は終日混雑した。更新手続きをとったのは約2170台。昨年同日比で約4倍に上った。
同支局では毎月1万5000台前後が更新手続きを受けている。2日以降の混雑も予想され、同支局は「保安基準適合証の有効期間が残っている場合は、連休明けの方が待ち時間が短いでしょう」としている。【安藤龍朗】
毎日新聞 2008年5月2日 地方版