揮発油(ガソリン)税の暫定税率復活が決まった。衆院で30日、関連法案が再可決。値上げを見越した駆け込み需要が県内でもピークを迎え、ガソリンスタンドに車が列をつくった。値上げには従業員やドライバーらはあきらめ顔の一方、混乱への批判や税金の使途の説明責任を求める声が聞かれた。
■スタンド
有田川町水尻の24時間営業のスタンドでは1日午前0時から、レギュラーを31円値上げして155円にする予定。店長(36)は「31円の値上げ幅は過去最高で、155円もおそらくうちでは最高」。4月1日から18円値下げし、3月の在庫の暫定税率分約60万円の損失を被ったという。
田辺市新庄町のセルフスタンドは4月1日、レギュラーを134円から125円にした。駆け込み給油は早朝から始まり、出勤途中の車に交じって午後は京都、石川、豊橋など県外車も。スタンドのマネジャーは「普段は地下タンクへの補充は1日1回だが、今日は3回目。混乱を招くことはやめてほしい」と語った。
和歌山市榎原の岩本石油榎原営業所も所長代理の男性(24)が「驚異的。備蓄分で足りるのかが気掛かり」と言うほどの車の列。29日には普段の土日の倍に当たる約2・3万リットルを売った。1日以降は30円以上の値上げが見込まれるが、「周りの様子を見て対応する」と話した。
同市狐島の中島石油バイパス松江セルフスタンドでは「お早めの給油にご協力下さい 一時的に品薄となる恐れがあります」などと書かれた張り紙を28日から掲示した。
■利用者
湯浅町湯浅の農家の女性(58)は農機具用のガソリンを買いだめ。「お国のやることに文句言ってもしょうがない」とあきらめ顔。田辺市のスタンドに並んだ30代の女性は「上げるなら税金の使い道をきちんと説明してほしい」と訴えた。
和歌山市のスタンドで、同市の主婦、有馬孝子さん(67)は「県内を見渡したら道路も必要。(値上げは)仕方ないわね」。同市の会社員、楠本星哉さん(20)は「バイクで出勤していたけど、30円も値上げされるなら、自転車で行かないと」と話していた。【加藤明子、吉野茂毅、藤顕一郎】
毎日新聞 2008年5月1日 地方版