沖縄には独自の記念日がいくつかある。語呂合わせ的な設定ではなく、歴史的な出来事があった日という意味では、5月15日の「本土復帰記念日」と、県条例で休日の定めがある6月23日の「慰霊の日」が代表格だろう。
近年だと、米兵による少女乱暴事件に抗議する県民大会が開催された1995年10月21日や、教科書検定意見撤回を求める県民大会の昨年9月29日が、それぞれ「10・21」「9・29」デーとして県民の記憶に刻まれ、繰り返し思い起こすに違いない。
そんな中で、忘れ去られそうな日がある。対日講和条約(サンフランシスコ平和条約)が発効した1952(昭和27)年4月28日で、県民にとっては“屈辱の日”ともされる「ヨンテン・ニーハチ」だ。
56年前のこの日、米ワシントンで対日講和条約の批准寄託式が開かれ、条約は発効した。敗戦に伴う連合国軍の占領統治が終わり、日本は6年8カ月ぶりに独立を回復したが、米軍の日本駐留を認める日米安全保障条約(旧安保条約)も同時に発効したため、沖縄は米国統治下に入り、異民族支配が始まった。
日本から切り離された沖縄の屈辱と犠牲の日々は、筆舌に尽くし難い。1972年になって悲願の祖国復帰を果たすが、広大な米軍基地の大半は残り、米兵らによる凶悪な事件、悲惨な事故は後を絶たない。「4・28」はまさに、戦後沖縄の運命と苦難の歩みを決定付けた日といえる。
県民は半世紀余にわたり、人権を踏みにじられ、過重な負担を強いられてきた。この状況から脱したいと願うなら、安保体制や日米同盟の負の部分を検証し、正していく姿勢が求められる。
講和条約発効の日については、日本が主権を取り戻したとの位置付けで「祝日にすべきだ」との主張も政界にくすぶる。だが、憲法の恩恵に十分に浴さない今日の沖縄に思いを致せば、祝賀ムードとはいくまい。それよりも「主権とは何か」を、あらためて国民一人一人が考える1日にしたい。
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