中国人とチベット支持者が小競り合いを繰り返す中で、26日行われた北京五輪の聖火リレー。公募ランナーは、それぞれの思いを胸に「平和と友好のシンボル」をつないだ。
最年長の山岸重治さん(76)=長野市=は98年の長野五輪時にも聖火を持って走った。当時、警察官を見た記憶はなく、走りながら沿道の人と記念写真も撮影できたという。
今回は走るスピードからトーチの掲げ方まで細かく指示された。「走る区間も直前まで秘密にするように言われ、ゆとりがなかった」。沿道の騒動に「聖火は五輪の象徴。政治に絡んだ問題にすべきでないと思っていたのに……」と残念そうに話した。
日本オリンピック委員会の公認応援団「チームがんばれ!ニッポン!」の代表として公募ランナーに選ばれた会社員、中原里実さん(30)=東京都練馬区=は朝、沿道に無数の中国国旗がはためく様子をテレビで見て「一瞬ぞっとした」。実際に走ると、中国人とチベット支援者の声は気にならず「がんばれ」という声に励まされたという。
「多くの声援を受けるのは初めてでいい思い出。北京五輪の役にも立ったかな」。23番目に走った長野県立長野養護学校高等部2年の藤沢純さん(16)=長野市=は「周りの人々に勇気を与えたい」と応募した。「暴動があるのでは」と緊張したものの、中国人が日本語で書いたプラカードに励まされたといい「好意的な応援だった」と話した。【池乗有衣、光田宗義、立上修、神澤龍二】
毎日新聞 2008年4月26日 20時40分(最終更新 4月27日 11時29分)