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オリンピックの行方

2008年05月02日

 北京オリンピックの聖火リレーが世界各地で妨害を受けている。長年にわたるチベットに対する中国の対応がここにきて国際世論の反発を生んでいる。一方、愛国心を燃やす各地の中国人が聖火リレーに集まった。スポーツの世界に政治が介入する光景は気持ちのいいものではない。クーベルタン男爵の指摘通り、オリンピックが政治的プロパガンダに利用され、国際紛争を引き起こす可能性も現実の問題となっている。

 アマチュアの祭典だったオリンピックは、ここ四半世紀はきわめて経済色の強い大会と化している。開催となるとビッグマネーが動くことから、開催地に名乗りを上げる都市は少なくない。事実、開催した国は確実に経済成長を遂げている。そのような背景のなか、東京都も2016年の開催地に立候補した。

 さて、オリンピックが先進国に持ち回りで経済効果をもたらす構造にピリオドを打ち、もう少し地球的な視野に立った開催地決定はできないものだろうか。政治・経済的な側面をあえて受け入れるならば、世界中の国から資金を出し合い、貧困な地域で開催する「コントリビューションオリンピック」への転換だ。競技場だけではなく、環境に負担の少ないことを条件に、開催地の各種インフラを整備し、雇用をつくり、産業や福祉の土台構築に世界中の知恵と資本を結集する。ビッグマネーも同様に使われる。

 あるいは、オリンピック開催を国家間の友好関係を築くきっかけととらえた「ピースオリンピック」はどうだろう。イスラエルとアラブ諸国による共同開催となれば、その意義は大きいのだが。従来のオリンピックの意味や手法も考え直す時期が訪れているのは確かだ。(深呼吸)

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