「環境生態学実習A]実施計画書

 

1.実習日時

 

          毎週月曜日 第3・4・5講時(13時30分〜18時20分)

 

2.概略

 

 下記の4つのテーマについて,3回ずつの実習を行う。

 実際には,4つの班に分かれて,下の表のようなスケジュールで実習を行う。

 

          a. 森林群集 (宮浦富保・佐藤真弓・高橋千春)

          b. 環境と植物 (Thomas Lei・内海俊介・小林由紀)

          c. 池沼環境と生物 (丸山 敦・苅部甚一・山中裕樹)

          d. 群集の変異と動態の解析 (近藤倫生・安東義乃・小野田幸生)               

               

実習スケジュール

 

 

月日 

1班

2班

3班

4班

 

 

 

 

 

 

@

(4/17)

- - ガイダンス - -

A

(4/24)

a

b

c

d

B

(5/1)

a

b

c

d

C

(5/8)

a

b

c

d

D

(5/15)

b

c

d

a

E

(5/22)

b

c

d

a

F

(5/29)

b

c

d

a

G

(6/5)

c

d

a

b

H

(6/12)

c

d

a

b

I

(6/19)

c

d

a

b

J

(6/26)

d

a

b

c

K

(7/3)

d

a

b

c

L

(7/10)

d

a

b

c

 

­­­­­­­­­­­­­­­­­班構成

 

番号

1

2

3

4

1

T040577

T050592

T050593

T050595

2

T050596

T050598

T050599

T050600

3

T050602

T050603

T050604

T050606

4

T050610

T050611

T050612

T050615

5

T050616

T050619

T050621

T050622

6

T050623

T050625

T050626

T050629

7

T050630

T050631

T050633

T050635

8

T050636

T050637

T050638

T050640

9

T050641

T050642

T050643

T050644

10

T050645

T050646

T050648

T050649

11

T050650

T050651

T050652

T050653

12

T050654

T050655

T050656

T050657

13

T050658

T050659

T050660

T050661

14

T050662

T050663

T050664

T050665

15

T050666

T050667

T050668

T050669

16

T050670

T050671

T050673

T050674

17

T050676

T050678

T050679

T050681

18

T050684

T050685

T050689

T050692

19

T050693

T050694

T050696

T050697

20

T050698

T050699

T050700

T050701

21

T050702

T050703

T050704

T050705

22

T050706

T050707

 

 

 

3.分野ごとの内容

 

a. 森林群集

 

 【実習の目的】

 この実習では、森林調査の基本である毎木調査を通じて森林生態系の現存量を推定し、森林の種構成やサイズ分布についての理解を深めることを第一の目的とする。また、森林調査を行う面積をどれくらいにするのが妥当であるか、考察する。

 

 【実習の内容】

(1週目)森林調査の基本である毎木調査を、大学に隣接する実習林内で行う。実習林内に設置した測定ラインに沿って、毎木調査を行う。 個体ごとの大きさとともに、樹種も判別する。 

 

(2週目)1週目の毎木調査の結果に基づき、森林の現存量の推定を試みる。 個体サイズの頻度分布を用いて、効率的な現存量推定の方法を検討する。 現存量を樹種ごと、場所ごとに比較し、森林の構造を理解する。

 

(3週目)一般にある植生における植物種の探索は、調査努力を増やせば、多くの種を見つけることが出来る。森林内での出現植物種数と調査面積との関係から、この点を理解し、森林調査における適切な調査面積について考察する。

 

 【雨天時の対応】

 原則的に、雨天決行。

 台風などの暴風雨が吹き荒れるときは、別途対応する。

 

 【学生が準備するもの】

 汚れても良い服装(長袖長ズボン)・帽子・トレッキングシューズ(または長靴)・野帳・筆記用具

 

 【評価材料】

 出席(遅刻は減点)、野外調査時の協調性と積極性、学生が準備するものの携行状況、レポート


b. 環境と植物

 

 【実習の目的】

異なる光環境に対する植物の形態的・生理的反応について理解することを目的とする。植物は動物のように動き回ることができないため、生育環境に応じてそれぞれの構造や機能を適応させることが必要である。もし、今生育している場所の光環境に順応することができなければ、その後順調に生育していくことは困難である。逆に、与えられた光環境に早く順応することのできる植物は、より早く成長し他の植物との競争に勝つ可能性が高いのである。

 

 【実習の内容】

林内など暗い環境に生育する植物と、太陽光のよくあたる明るい環境に生育する植物の、形態的・生理的特徴について比較し、それぞれの光環境への適応の仕方の違いについて理解する。

 

 [第1週]

近隣の森林周辺において植物サンプルを採取する。採取したサンプルを実験室に持ち帰り、次週の実験のためクロロフィル測定用サンプルは冷凍保存、葉の構造観察用のサンプルは固定液につける。また一部の葉の比面積測定用に、葉面積測定後に、乾燥機で乾燥させる。

 

 [第2週]

クロロフィルの抽出、葉の構造の観察、葉の乾燥重量の測定を行う。クロロフィルの抽出には、約1時間半から2時間を要する。葉の構造観察では、葉の断面の観察と気孔密度の測定を行う。

 

 [第3週]

それぞれの植物で得られたデータを解析・グラフ化し、種による違いや光環境による違いについて考察する。

 

 【雨天の時】

雨天であっても、植物サンプルの採取にでるため、カッパ、長靴、傘など各自用意すること。また、採取時に場所や種名を記録するため、耐水野帳を持参すること。採取したサンプルを入れるビニール袋とマーカーは、こちらで準備する。

 

 【学生が持参するもの】

鉛筆(HB)、耐水野帳、レイアウト用紙

 

 【大学が準備するもの】

マーカー(植物サンプル採取時)、チャックつきポリ袋、紙袋、SPAD meter (クロロフィル用)、葉面積計、乾燥機、電子天秤、穴あけパンチ、water bath、ピペット、試験管、DMSO、分光光度計、かみそり、顕微鏡、スライドグラス、スライドグラスカバー、アルミホイル

 

 


c. 池沼環境と生物

 

 【実習の目的と概要】

溜め池に生息する生物の個体数推定を行う。自ら企画・実行・再検討・改善(PDCA)して定量方法を開拓する。その過程で、各生物の池内分布様式とその要因を模索する。

 

 【作業内容】

第1週:瀬田公園第2駐車場に現地集合(〜13:45厳守、HPで案内)。担当する分類群の選択(浮遊藻類/付着藻類/浮遊動物/水生昆虫/落下昆虫/魚類)と班分けを行う。各班で生物量を定量するための採集道具(プランクトンネット/ブラシ/網/バット/ゴムボートetc)、採集デザイン(回数/場所etc)、観察方法(目視/実体顕微鏡/光学顕微鏡etc)、算出方法を議論した後、担当生物の採集と固定。実験室1に戻り、簡易同定と方法論の反省。

第2週:現地集合(〜13:45厳守)。第1週と同作業。ただし、第1週の結果を各班で反省し、方法を改善した上で行う。実験室1に戻り、同定とデータ整理。道具を片付けて解散。

第3週:環境実験室1に集合(〜13:30厳守)。データ整理と生物量算出。班毎に、池全体の推定個体数とその根拠を口頭発表。自班の方法論について、他班が用いた方法との比較考察を交えたレポートを提出(2週間以内)。

 

 【各自で準備するもの】

第1・2週:水没覚悟の服装と靴下、着替え、タオル、耐水野帳、筆記具

第3週:耐水野帳、筆記具

 

 【評価材料】

出席、集合時間、方法の論理性と独自性、協調性、発表会での積極性、レポートの構成と考察

 

 【その他】

原則、雨天決行。危険な場合は実験室1集合とする(当日11時までに研究室13に掲示)

現地集合場所への案内はHPを参照のこと(http://www.est.ryukoku.ac.jp/est/maruyama/)。


d. 群集の変異と動態の解析

 

 【実習の目的】

野外でとられたデータも解析することなしにはただの「言葉の羅列」でしかない。本実習では、実際に野外調査や実習中のアンケートによってあつめられたデータを利用して、個体群〜群集レベルの生態学的特徴を客観的な指標を用いて定量的に評価する方法を学ぶ。初歩的な統計的手法に触れたり、いくつかの理論生態学的知識を身に付けたりすることも目的に含まれる。

 

 【実験の内容】

第1週:生物の分布を評価する

生物はどのように空間分布しているだろうか?ランダムなのか、整然と分布しているのか、それとも固まって分布しているのか?龍谷の森の調査データ(1つは本物、あとの2つは人工的に作った「偽物」のデータ)における木の分布パターンを調べ、そこから何が読み取れるかを議論し、どれが本物かを推察する。以下の指標を利用する:様々な空間スケールでの「平均込み合い度(個体数の多い上位5種、全樹種について計算)」(または「森下の分布指数(Iδ)」)、「種間平均込み合い度」。

 

第2週:生物を分類する

私たちは分類することなしには世界を認識することはできない。生物学においても様々な場面で生物システムは分類される。個体を性別や身体的特徴によって分類する。種を形質によって分類する。生態系をそこに住む生物や気候によって分類する。だが分類はただなんとなくされているわけではなく、そこには厳密な方法論がある。この実習では参加している学生を題材に、「類似値を利用したクラスタリングによる分類」の基本的コンセプトと具体的手法を学ぶ。

 

第3週:生物のネットワークを調べる

生態系内において生物は「喰うー喰われる関係」や「競争関係」などの様々な「関係」でつながっており、全体として一つの「関係性のネットワーク」を形作っている。では、このネットワークの中で最も強い影響力を持っているのはどの生物だろうか?たくさんの生物を支えている大事な生物はどれだろう?ある生物と別の生物の間には何種類の生物が介在しているか?こういった問いに答えるためには、ネットワークの構造を解析する手法を知っていなくてはいけない。この実習では参加している学生の間に成立している社会ネットワークを材料に、ネットワーク構造解析の基本的コンセプトと具体的方法論を学ぶ。

 

 【雨天時の対応】

室内での実習なので雨天時も変更なし

 

 【使用するもの】

方眼紙、計算用紙とペン。定規と電卓を大学側で用意する。

 

 


4.実習のために準備するもの(共通して必要なもの)

  汚れても良い服装(長袖長ズボン着用)、運動靴(または長靴)、雨ガッパ、軍手、リュックサック、耐水野帳、筆記用具、帽子

 

 

5.実習の中止や延期等の連絡

 雨や災害等のやむを得ない事態にあたっては,実習を中止したり,延期したりすることがある。このような場合には,実習当日の午前11時までに1号館の掲示板および7号館の掲示板に掲示する。実習の当日には必ず掲示板を確認すること。

 

 

6.成績評価

 出席の他、提出されたレポート、小発表、スケッチ、標本等で評価する。実習中の態度(作業への積極的な取り組み、自主性と協調性など)も評価の参考にする。実習時間を厳守で、 遅刻は厳しく評価する。

 

 

7.安全上の注意

 この実習は、野外で測定・調査・採集を行います。野外の実習では危険がともなうので、昨年度配布された「安全のてびき」の関係項目を熟読し、頭に入れておくこと。実習ごとに現場にそくした注意点や指示があるので、実習担当者の指示に従うこと。