Yナンバー車 3000台中 車庫証明わずか4台
不公平な実態 今なお
【東京】米軍人・軍属とその家族の私有車両(Yナンバー車)の登録の際に求められる車庫証明書について、今年一―三月の間に県内で登録されたYナンバー車三千三十九台中、車庫証明書が提出されたのは四台しかないことが一日、国土交通省作成の資料で分かった。日米両政府は二〇〇四年に「基地外」の車庫がある場合は車庫証明を義務付けることで合意したが、大量のYナンバー車が手続きを免れている不公平な実態が改善されていないことが浮き彫りとなった。
車庫法では、使用の本拠(通常は居所)から二キロ以内の場所に保管場所(車庫)を確保することが定められている。
Yナンバー車の車庫証明をめぐっては、基地内外で免除されていた実態を重くみた当時の運輸省が一九九八年、「車庫証明の提出がない場合は登録しない」とする「管理課長通達」を、沖縄総合事務局運輸部長などに通知している。
しかし、問題は改善されず、国会などで批判が集中。日米両政府は〇四年、Yナンバー車を登録する際に「基地外」に車庫がある場合は車庫証明書の提出を義務付けることで合意。「基地内」の車庫についても、早期の適用を目指して集中的に議論することを確認していたが、実施されないまま放置されている。
資料によると、同期間中、全国で登録されたYナンバー車は六千八百十九台で、そのうち七百七十九台が車庫証明書を提出。長崎県の佐世保検査登録事務所管内では、百六十一台中、六十一台が車庫証明を提出しており、県内は他の地域と比べても極めて少ない比率となっている。
県内で車庫証明書を提出した四台以外の三千三十五台は「基地内」か、車庫法の適用地域外に車庫を確保していることになる。県内在住の米軍人・軍属とその家族四万四千九百六十三人中、約四分の一を占める一万七百四十八人が「基地外」に居住している実態(今年一月末時点)との整合性が問われそうだ。
資料は井上哲士参院議員(共産)の請求を受け、国土交通省が提出した。
[ことば]
Yナンバー 米軍人・軍属と家族が日本で購入した車に付けられる。この制度が横浜で開始されたことから、「YOKOHAMA」のYが由来とされる。今年3月末時点のYナンバー車の登録総数は全国で5万6450台で、そのうち県内は2万6897台と約半数を占める。