「これが世界選手権銀メダルの衣装か」。立ち止まって思わずつぶやいてしまいました。
三十日まで倉敷市内で開かれた「高橋大輔展」。同市出身でトリノ冬季五輪フィギュアスケート八位入賞の高橋選手(関大大学院)の足跡が、大会のメダルや幼少期からの写真パネルなどで紹介されました。
同展は、高橋選手を育てたスケートリンクのあるウェルサンピア倉敷(同市連島町西之浦)が、競売にかけられたことに端を発し、利用者らが展開している存続運動を後押ししようと企画されたものです。地元のケーブルテレビ局が、自社のロビーを開放し、入場者には存続に向けた署名への協力も呼び掛けました。
高橋選手は、昨年の世界選手権で銀メダルを獲得した日本のエース。次のバンクーバー冬季五輪では金メダルの期待が懸かります。その世界の「タカハシ」が倉敷市出身であることは、後進のスケート選手のみならず、市民が誇っていいことだと思います。
成長の礎となった故郷を大事に思う高橋選手は三月末、ウェルサンピアで開かれたリンクの存続アピールイベントに参加し、氷上を華麗に舞い観客を魅了しました。
風薫る季節を迎えましたが、ウェルサンピアのリンクは五月から一時閉鎖され、再入札待ちとなります。激戦の市長選が終わり、新市長の下で新たなまちづくりが始まる倉敷市。厳しい財政事情の中、市が直接購入するのは難しいでしょうが、市内にある貴重な資源であるリンクをいかに守るかを市民や競技団体などと一緒に考えてもらいたいものです。
(倉敷支社・河原聡)