きょうから五月。新緑の香りを含んだ薫風の季節を迎えた。心地よい風を求めて野山に出掛けたいところだが、遠出は控えるドライバーが多いのではないか。
ガソリンにかかる揮発油税など道路特定財源の暫定税率が、一カ月ぶりに復活した。与党が関係法案を衆院本会議で再可決し、成立させたからだ。ガソリン一リットル当たり約二十五円の税金が再び上乗せされる。
本来の税額の二倍程度になる。「暫定」という意味を辞書でひくと、臨時、あるいは仮の措置とある。ところがこの暫定税率は、延長を繰り返し三十年以上も続いている。日本語の概念を覆す現象といえる。
暫定税率はオイルショックによる資材高騰などで道路財源が不足したため、二年間の時限措置としてスタートした。時代は変わり、今や余剰金が出ている。二〇〇七年度予算では約千八百億円が、医療や教育など道路以外の分野にも使える一般財源になった。
さらにマッサージチェア購入やミュージカル開催など無駄遣いも指摘される。道路整備の目的税なら、余ったり無駄な使途がある以上、まずは暫定税率を引き下げるか、廃止するのが筋だろう。
だが、福田康夫首相は厳しい財政事情などを理由に復活させた。薫風気分をかき消すような対応に、国民はどんな風を送り返すだろうか。