INTERVIEW
柴田淳
Interview 2006.04
『Single Collection』のリリース以降、ずっと柴田淳の動向を気にしていた方、お待たせしました!ニューシングル『花吹雪』の完成です。そして柴田淳本人がその待望の新曲について語ってくれています。忘れ去られてしまう切ない想いを真空パックしたような一曲『花吹雪』、そこには一体どんな想いが込められているのでしょうか?
−人と人の繋がりを歌った柴田淳さんの曲の中で、今回の新曲『花吹雪』はそれの最たるモノなんじゃないかなと僕は感じました。実際にはどんな想いが込められている曲なんでしょう?
柴田淳:作り終わってから人に言われて気付いたんですけど「これは大人だから分かる別れの歌だよね」って言われたんですよね。で、詞を読み返して納得したんですけど、私、この詞のような経験を沢山していて。小さい時は転校してしまうときとかに「月一回は遊ぼうね」とか「毎週一回は連絡取り合おうね」とか、そういう約束をして、その時は本当にそういうことをしたいと思って約束をするんだけど、でも新しい生活になったらそっちの方が楽しくなっちゃって、振り返ることもなくって、いつの間にか約束なんて忘れてるっていうことが多かった。でも、大学を卒業したりとか、社会に出てからの「さよなら」って、その後どうなるのかが見えてるんですよね。「きっと話が合わないようになっちゃうんだろうなぁ」って思ったり、たまに「元気?」って電話したときに相手がすごく忙しくてうざったく思われちゃったり、その逆もあったり、すごく親友だったとしてもいつかそうなっちゃうって。生活が変わっちゃうとね、価値観も変わってくるし、温度差も出てくるし。それを分かった上で、お互いにそういう風になるって分かっていながらも「また会おうね」って挨拶を交わすのって、ものすごく切ないなって。こんなにいっつも一緒にいて、こんなに大好きだったのに。ずっと親友の人もいますけど、でもそうじゃなくなってしまうこともあって、「いつかそういう関係になっちゃうのかな」って思ったら、どうせ消えてしまう想いなのであれば、消えてない今、その想いで思う存分泣けばいい。今、我慢しちゃったら、もう絶対泣けないから。どんどん薄れてしまっていくから。で、今の気持ちがどれぐらい切なかったのかなんて、きっと忘れちゃうから、噛み締められるときに噛み締めておこうとか。
−なるほど。
柴田淳:多分ね、二人で一緒に過ごした生活が今日で終わって、新たな旅立ちのときには、もう次の生活を見ちゃってて、もう心ここにあらずなんですよね。で、気持ちがそっちに行っちゃってる人とか見たら、隣にいるのに隣にいないような、すごく遠く感じて、ものすごく切ないんですよね。こっちからしたら「まだ終わってないしさ」「今日ぐらいはまだここにいて」って思うときがあった。あと、誰かにそう思わせちゃったときもきっとあったと思うし。なんかね、そういう歌をうたいたいなって思って、今回『花吹雪』という曲を書いてみました。
−その『花吹雪』、個人的には柴田淳史上最高の名曲なんじゃないかなと感じて、一人でテンション上がってたりしたんですけど(笑)。自分的にはこの曲が完成したときはどんな感想を持ったりしました?
柴田淳:ありがとうございます!ただ私はこの曲を完成させるのに全然余裕が無かったですね(笑)。やっぱり新しいスタッフにも出逢って環境も変わったので、会う人会う人に「期待してます」って言われて、それをエネルギーに変えられるか、プレッシャーに感じてしまうかは自分次第なんですけど、一生懸命エネルギーに変えようって思っていたら頭でっかちになっちゃって「本当にこれでいいんだろうか?」ってなってしまって。自分の感覚に自信が持てなかったというか、ちょっと不安だったときはありましたけど。今はみんながどんな感想を聞かせてくれるのか、楽しみにしてます。
−あと、この曲、「ぼくの味方」というデビュー曲のタイトルが詞の中に出てきますが、これは意図的に?
柴田淳:はい。それは私も「うふふ」と笑いながら書いたんですけど、そのままの言葉通りの意味で「ぼくの味方」って受けとめていただいていいんですけど、「ぼくの味方」というワンフレーズに、あのデビューシングル『ぼくの味方』の内容のことを当てはめてもらったら面白いかなって。ファンにしか分かんないんだけど(笑)。そういう知ってる人がニヤってするようなものを入れたくって、『今夜、君の声が聞きたい』っていう曲にも『月光浴』の「コーヒーに月を浮かべて」というフレーズを「またコーヒーに月を浮かべて」って変えて入れてみたりしたんですけど。たまにそういうお遊びをしています。あとは今回のシングルは“再出発”みたいな感じでもあるので、初心に帰る意味もあって「ぼくの味方」という言葉が出てきたんだと思いますね。
−そんな6分以上ある大作『花吹雪』のリリース後っていうのは、どんな展開が予定されていたりするんでしょう?
柴田淳:またシングルを何枚かリリースして、年明けぐらいにはアルバムとかを出して、そのあと、元気があればツアーをやろうかなと。そんな感じですね。だからこの一年を乗り越えられるかが柴田淳の今後を握ってるって感じかな。越えられるかなぁ(笑)?
−ファンの想いを代弁して「越えてください」と言っておきます(笑)。では、最後になるんですが、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
柴田淳:私も多分、この記事を自分の家のパソコンから見て、今の話を思い出してニヤニヤして読んでると思うんですけど、「はじめまして」の人には多分いろんなことが分かったと思うし、ファンの人は「相変わらず“しばじゅん”は“しばじゅん”なんだな」って感じると思うし(笑)。で、私もみんなと同じようにパソコンからこの画面を覗いてるっていうことは、立ち位置はみんなと同じなので、歌手とファンって分けないで、常にいられたらいいなと思ってます。もう友達感覚で私に手紙を書いてくれる人もいるんだけど、私はそれがすごく嬉しいので、あんまり「柴田淳が遠い」とか思わずに、私の音楽も私自身も身近に置いておいてくれたらなって思います。良い関係をこれからも築いていきたいですね。よろしくお願いします!
文・インタビュー●平賀哲雄
PROFILE
■しばたじゅん
76年東京生まれ。幼少から両親の影響を受けてピアノのレッスンを受けてきた彼女だが、高校生のときにシング・ライク・トーキングの「離れずに暖めて」を聴いてこれまで培ったクラシック音楽以外にも音を楽しむポップス音楽にも目覚めるようになる。2001年10月、シングル「ぼくの味方」をリリースしデビュー、透明感のある歌声と印象的なメロディー、繊細な歌詞の織り成す世界観が聴く人の心を打った。他にもCHEMISTRYのアルバムに歌詞を提供して作家としても活躍しながらTVのナレーションの依頼が来るなどその才能は音楽だけに留まらない。
■公式サイト
INFORMATION
Album 2006.04.19 Release
■ 花吹雪
ビクターエンタテインメント
- 花吹雪
- ひとり芝居
【初回限定盤】
※DVD「花吹雪」ミュージック・クリップ収録
VIZL-180 ¥1,470(tax in.)
【通常盤】
VICL-35997 ¥1,155(tax in.)
アーティストチェック
- ▼アーティスト使用の着信メロディチェック!
- ■山田 / レディオヘッド「High & Dry」
- ■岡峰 / 童謡「麦畑」
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- by けむナビ
- at 20:42