佐渡の翼(リニューアル版）

１月のとある週末の夕刻、佐渡の翼は、深々（しんしん）と冷え込む新潟駅に降り立ちました。ホテルイタリア軒のビストロ「マルコポーロ」でビーフシチューを味わうために、駅前からタクシーを飛ばしました。しかしながら、新潟駅で誰かが非常停止ボタンを押したために、新幹線の到着が５分ほど遅れ、その結果、ホテルに到着したのが８時３５分。ラストオーダーの８時半を５分超過したため、無情にもビーフシチューを食べることができませんでした。やむなく、１２階のフレンチレストラン兼ラウンジの「ゴンドリーナ」へ行きました。

このレストランでは、一人客であることを告げたら、ウエイターが、「コートをお預かりしましょうか」の一言もなく、いきなりバーカウンター席に案内してくれました。バーテンダーさんから、「お飲み物はいかがいたしましょうか？」と問いかけられたので、「赤ワイン」を注文しました。銘柄もへったくれもありません。「どこ産の何々というワイン」ですなどという辟易した講釈などは一切なしに、グラスワインが出てきました。東京の星付きレストランで過剰なサービスを受け慣れていると、これが逆に新鮮で妙にリラックスできるのが不思議です。ホテルイタリア軒って、新潟では一応一流の部類に属する老舗ホテルなんだそうですが、筆者にとっては、田舎の二流ホテルとしか映りません。

イタリア軒サラダ(1,200円)と黒毛和牛のヒレ肉のグリエ　マデラソース（4,800円）をオーダーしました。メニューには佐渡のへんじんもっこのソーセージなどもありました。ほどなくしてイタリア軒サラダが運ばれてきました。サラミ・ハム・アメリカンチーズ・レタスの組み合わせにマヨネーズがかけられていました。お味はと言うと、ロイホやスカイラークなどのファミレスで出てくるサラダのレベルです！こりゃ駄目だな。

諦めて、黒毛和牛のヒレ肉のグリエを賞味してみました。うーん、このお肉は柔らかくて美味しい。付け合せのポテト、芽キャベツ、人参、隠元なども、通常のホテルのお味。この一品には満足しました。合格です。

9時を過ぎると店内はスーツ姿のおやじ達であふれかえり、ピアノの生演奏なども始まりましたが、どことなく垢抜けない雰囲気が拭えないのです。隣にサラリーマン風のおやじがやってきて、バーテンダーと名刺交換を始めました。次いで乾き物をつまみにしてビールを飲み始めました。新潟の夜景を楽しめるバーカウンターで男が一人で飲むのなら、マテイーニかジントニックがふさわしいのですが、このホテルにはそんな洒落た渋い男性は皆無でした。おやじがタバコを吸い始めたので早々に退散しました。

御代は、ワイン２杯で3000円を含め、総額9,000円でした。サービス料はなし！！田舎ホテルにしてはけっこうなお値段でした。このホテル、ニューオータニ系列のようです。ホテル大佐渡とホテル新潟は同系列ですね。