非正規雇用で生活保護20兆円−シンクタンク試算

 1990年代のバブル経済崩壊から2000年代初めにかけての「就職氷河期」といわれる時期に急増した非正規雇用について、シンクタンクの総合研究開発機構(NIRA)は4月30日までに、この時期の非正規雇用者が低水準の賃金で十分な年金を確保できないまま、退職後に生活保護受給状態に陥った場合、20兆円程度の追加的な財政負担が生じるとの研究報告書をまとめた。

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 報告書によると、雇用者全体に占める非正規雇用者の割合は、1990年代前半まで20%程度で推移していたが、近年にはおよそ3人に1人という高水準にまで上昇。非正規雇用について、報告書では「正規雇用は勤続年数が長くなるにつれて賃金水準が上昇するのに対し、低水準のまま固定された状態にある」と指摘している。

 また報告書では、「就職氷河期」に急増した非正規雇用者と無業者は合わせて約120万人と推計。その上で、「新卒段階で正規採用されなかった若年層の正規雇用への転換は難しい」として、120万人のうち約77万4,000人が低賃金のまま、十分な年金を確保できずに高齢化して生活保護受給者になるとみている。これが現実化した場合に必要な予算額は、17兆7,000億円から19兆3,000億円になると試算した。

 こうした試算を踏まえ、報告書では「医療、年金、雇用などに関する社会保険の仕組みや生活保護のような社会保障制度について、若年非正規雇用の存在に配慮しながら制度全体の整合性が取れるような新たな枠組みを再設計する必要がある」などと提言している。


更新:2008/04/30 18:23     キャリアブレイン

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