■ (政界の基軸)次世代リーダーは国家戦略本部政治体制改革PT報告書の賛否を鮮明に
日経に「民主党10年」(下)「『ポスト小沢』うごめく」が書かれている。
「『何としても長期政権を倒し、国民サイドに立った政権をつくろうと決意に燃えている』。23日、衆院山口2区補欠選挙の応援に訪れた民主党の小沢一郎代表は、山口県光市内での街頭演説で、雨のなか政権交代の『決意』を訴えた。
民主党は10年間で5回の党首交代を経験した。鳩山由紀夫氏は自由党との合流構想など、菅直人氏は年金未納問題、前原誠司氏は偽メール事件。いずれも党の背骨を揺るがす危機のたびに寄り合い所帯のもろさが表面化。党首の『すげ替え』で空中分解を回避してきた。
就任2年の小沢氏を支えるのは『選挙』。選挙対策に精通した手腕に党内の期待が集まる構図は、衆院解散・総選挙が遠のけば、路線対立が再び顔を出す危険と表裏一体でもある。その小沢氏が主導したのが暫定税率失効による『ガソリン値下げ』。選挙に勝つための『世論』重視の色が濃いが、党内には与党との話し合いで道路特定財源の一般財源化を実現することで『政権担当能力』こそアピールすべきだとの声がくすぶる。秋以降、焦点となる消費税問題を巡っても、小沢氏は昨年の参院選で公約した『5%維持』の方針を堅持。政策重視派からは、『社会保障政策などの財源の手当てがなくなる』との不満が漏れる。
自民党はそんな民主党に揺さぶりをかける。9日夜、小泉純一郎元首相は都内の日本料理店で民主党の前原副代表と自民党の小池百合子元防衛相らを前に『ここに首相候補が2人もいる』とたきつけた。会合は奥田碩内閣特別顧問から『信頼できる人を連れてきてくれ』と言われた前原氏が仙谷由人、玄葉光一郎両氏らを誘ったとされ、自民党からは小池、前原両氏と同じ日本新党出身の茂木敏允氏らが同席した。
前原氏は23日、共同代表を務める超党派の『新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会』の総会で『日本の安保政策は虚構の上に立っている。与野党関係なく骨太の議論をしなければいけない』と強調。玄葉氏も同日の超党派議連『せんたく議員連合』の分科会で『(与野党)一致した政策は選挙前に行動を起こす』と語った。
同議連の幹部には岡田克也氏や、野田佳彦、枝野幸男両氏ら前原氏と近いメンバーが顔をそろえる。議連幹部の1人は『表に見える枠組みは関係ない。そのメンバーと水面下でやることこそが重要だ』と語る。『ポスト小沢』の面々が見据えるのは、9月の民主党代表選だけではない」
―中川の眼―
この解説記事の結語である「『ポスト小沢』の面々が見据えるのは、9月の民主党代表選だけではない」とは意味深である。政局重視派路線は政権交代ありきだが、政策重視論路線は政界再編も視野に入れ始めたのか。
試金石は5月以降の国会だ。いまのところ、民主党は全面的国会空転作戦をとるものとみられている。
霞ヶ関の一部の勢力は、公務員制度改革基本法案を国会空転に乗じて成立させまいとしている。
国会の全面空転が予想される5月以降、民主党良識派に問われるのはこの点だ。霞ヶ関の一部の勢力に塩を送るのか、否か、だ。霞ヶ関の一部勢力は、民主党良識派が小沢政局主義に逆らえるはずがない、彼らの脱・官僚主導など口だけだ、と思っているだろう。是非、そうではない、ということを行動で示してもらいたい。
自民党では、国家戦略本部の政治体制改革プロジェクトチーム(奥野信亮主査)が本格的な「脱・霞ヶ関主導」「道州制国家移行」の報告書をとりまとめ、今日、公開される。
今後の政界の動向は、この報告書がひとつの基軸になるだろう。自民党であれ、民主党であれ、次の世代のリーダーはこの報告書の方向に、賛成か、反対か、旗幟鮮明にしなければならない。そういう時代がやってきている。(4月24日記)